2022.08.18
建築業界動向

所有権革命で不動産売買の常識が覆る?ニューヨークのビルがNFTで販売された!

NFTは不動産との相性が良いと言われています。NFTは「代替不可能なデジタル資産」であり、ブロックチェーン技術によって唯一無二の所有権が証明できるため、インターネット上での不動産売買や契約への活用が進んでいます。

現実世界の不動産がバーチャル世界と繋がることで、従来の常識を大きく覆す可能性があります。

(pixabay)

NFTについて

NFTについてご存知の方もいるかもしれませんが、簡単におさらいしましょう。

NFTは”Non-Fungible Token”、「非代替性トークン」のことです。

と言われても、そもそも「トークン」が今まで日常で聴き慣れていない言葉でピンと来ない、という人も多いかもしれません。

トークンとは

「トークン」は、様々な場面で使われています。

【 “トークン”が用いられる例 】

・プログラミング言語のソースコードにおける、最小単位の字句
・コンピュータサービスに使用する認証サポートのための物理デバイス
(セキュリティトークン)
・硬貨の代わりに用いられる代用貨幣(例えば、ゲームセンターのコインなど)
・トレーディングカードゲームでカード効果によって生み出された「目印」

「非代替性トークン」は、それぞれに固有の価値があり代替不能なトークンのことを指していて、例えば仮想通貨コインのような「トークン同士が同じ価値を持つ代替可能な資産」とは異なるものとして、区別されます。

(pixabay)

ブロックチェーンに記録

特定のデジタルデータに代替不能な価値を生み出すために用いられるのが「ブロックチェーン」という技術です。

ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも表現されます。特殊な暗号技術で取引記録を分散させて管理するため、データの改変が非常に難しく、現実的には行えないとされています。

NFTは、このブロックチェーン上にデータを記録します。そのため、特定のデジタルデータに対して唯一の価値を生み出せる、所有権を証明できるというものです。

(pixabay)

NFTと不動産業界の関わり

デジタル資産に唯一の価値を生み出し所有権が認証できるようになると、不動産業界にはどのような変化が起こるのでしょうか。

NYのビルがNFTとして売り出された事例

米国の不動産会社オカダ&カンパニーが、商用物件をNFTとしてオープンシーに登録した事が話題を呼んでいます。

「ニューヨーク市のランドマークに近い7階建てのオフィス・商用ビルを、1万5000イーサリアム(ETH)(約2870万ドル)で売りに出した」というニュースです。

※OpenSea(オープンシー)
NFTの出品・購入等ができるオンラインマーケットプレイス。

売りに出しているNFTについて同社は「建物の使用権と、関連する契約証書を取得する権利を与えるものであり、NFTの売却イコール不動産取引の完了では無い」としています。
取引の完了には、従来の不動産手続きが必要だという事です。

(pixabay)

日本でも!「オーベル練馬」のNFT販売

東京都内の物件がNFT販売されたニュースもあります。

“Ouchi Finance”というサービスでは「NFT化された不動産、あるいはメタバース上の不動産を提供することを目指す」としています。
このOuchi Financeに「オーベル練馬」という都内にある建築済みの物件の一室が売り出されました。

Ouchi Financeがトグルホールディングス株式会社からオーベル練馬の一室を担保として受取り、NFT化及び小口化して販売するというものです。

不動産所有権のトークン化

NFT技術によって不動産の所有権をトークン化できると、ネット上で不動産売買が出来るようになり、押印や様々な必要書類の取得手続きが大幅に簡略化されて、不動産売買のハードルが下がると言われています。

課題も多い

不動産のNFT化に関して、最も指摘されている課題は権利問題だと言われています。

NFT化された不動産は簡単に取引できますが、法律の整備等は追いついていません。

そのため、法的な権利が曖昧になるリスクが高いのです。法整備が整うまでは、特に慎重さが必要です。

(pixabay)

新技術の定着は目前か

過去20年ほどの間には、モバイル端末が劇的な進化を遂げて人々の間にみるみる普及していきました。ブロックチェーンやNFTの技術は現在、猛烈なスピードで広がりを見せています。

オンライン取引の常識が覆る新時代の到来も、すぐそこまで迫っていると言えるかもしれません。