2022.07.28
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Web3「分散型インターネット」世の中、何が変わる?アカウント作成は不要に!

最近「Web3(ウェブスリー)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

しかしWeb3の時代が来ると騒がれていても、Web3が何なのか、世の中がどう変わるという話なのかを明確にイメージできている人は、もしかするとまだ少ないかもしれません。

既存のビジネスモデルを崩壊・変化させる可能性があると言われるWeb3は、インターネットの世界をどう変化させるのでしょうか。

「Web(ウェブ)」の意味

「Web(ウェブ)」という単語が持つ意味は「クモの巣」で、IT分野におけるWebは「www」を指しています。

WebサイトのURLで見かける「www」は「World Wide Web」の略で、「世界中のどこからでも情報を閲覧・収集できるシステム(世界中のサイトをハイパーテキストで繋ぐシステム)」という意味を持っています。

まるでクモの巣のように世界中のサイトを繋げ、あらゆる人がどこからでもサイト情報を活用できるようになりました。

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Web1.0とは

「Web3」に至るまでには「Web1.0」「Web2.0」が存在します。

「Web1.0」は一般的に、インターネットが普及しはじめた1990年代半ばから、Web2.0 が生まれる2000年代半ばまでを指しています。

Web1.0時代は「ホームページ」が中心で、個人が企業のウェブサイトを閲覧する事が中心でした。

HTMLで作られた固定的な情報を中心として、ユーザーのデバイスはPC、コミュニケーションには主に電子メールが用いられ、一般の人によるコンテンツ投稿や相互のアクション、画像・動画コンテンツはほとんどありませんでした。

Google検索やAmazonは、この時期に誕生しています。

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Web2.0とは

「Web2.0」が到来したのが2000年代です。最も特徴的な事のひとつはSNSの普及と言えるでしょう。

Facebook、Twitter、Instagramや、Youtubeなどが広まりました。

高速インターネット環境が整備されスマートフォンが普及し、誰もがいつでも、どこからでもインターネットにアクセスする事が一般的になっていきました。

画像や動画のコンテンツが溢れるようになり、個人がコンテンツを容易に発信できる世界へと変化していきました。

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Web3(Web3.0)とは

Web3(Web3.0)は、Web2.0が抱える問題の解決に向けた動きと言えます。

そのため、Web3を最短で理解するためには、まずWeb2.0時代の課題について知るのが良いでしょう。

Web2.0時代に至る変化の中で人々はインターネットから多くの恩恵を受けましたが、一方でいくつかの深刻な問題やデメリットに頭を悩ませるようになり、インターネットに対する不信感も抱くようになりました。

Web2.0における個人情報漏洩のリスク

Web2.0では特定企業に個人情報が集中しており、その安全性に対して疑問が抱かれています。

GAFA(Google、Amazon、Facebook /現「Meta」、Apple)を中心とした巨大企業に集められた膨大な個人情報が、正しく管理・運用されるのか保証が無いという点です。

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世界中のあらゆる個人情報が偏って集中しているため、情報を握る企業はサイバー攻撃のターゲットにされやすく、多くのユーザーが危険にさらされるリスクがあります。

ユーザーは住所や年齢・性別などに加えて、個人の嗜好や行動履歴等の情報まで企業に収集されるため、個人のプライバシーをどのようにして守るのかが大きな課題となっています。

Web2.0は中央集権型

Web2.0ではGAFAといった特定の企業に情報が集中した結果、情報に基づく権力や富もそれらの企業に偏り過ぎているという指摘があります。

例えば、個人が発信したコンテンツが企業の定める利用規約によって作者ではなく企業の独占物となる仕組みが成立していたり、政治家本人のアカウントさえも企業の独断で有無を言わせず停止する事が可能であるなどです。

特定の企業がそこまでの権力を行使できる仕組みに対して疑問や懸念が抱かれています。

Web3で「中央集権」から「分散」へ

Web2.0時代の問題は「中央集権」に依るところが大きく、その解決策としてインターネットの「分散化」を図ろうとしているのがWeb3です。

Web1.0、Web2.0には無かった「”開かれた”インターネット世界」を実現させるために、特定の大企業に情報を預けるのではなく個人が情報を管理する時代をもたらそうとしています。

インターネットの「分散化」で何が起きる?

インターネットを分散化すると、具体的にインターネットの世界がどう変わるのでしょうか。

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今は当たり前の「アカウント作成」が不要に

Web3.0では、現在当たり前になっている「アカウント作成」が不要になります。

改ざんや複製が不可能な最新技術を用いた個人の「ウォレット」とサービスを直結させるため、IDやパスワードの設定、個人情報の入力等を必要としなくなります。

ユーザーは企業に個人情報を渡すことなくサイトを匿名で利用できるようになり、企業と個人の直接取引が可能になるため様々なマージンを減らせると言われています。

データを「所有」できる

また、電子書籍などのデータにも最新技術を用いて「企業に預ける」のではなく「個人が所有する」ことが可能になります。

例えばWeb2.0では、特定のプラットフォームでユーザーのアカウントが企業から停止された際に、当該ユーザーがそのプラットフォーム上で購入した電子書籍が全て使用できなくなったというケースがありました。

しかし、アカウントの停止理由が電子書籍とは無関係だったため、ユーザーが購入した電子書籍が実質的には企業の所有物のようになっており、全て取り上げられてしまった事態が問題視されたのです。

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Web3では、ユーザーが購入した電子書籍をユーザーの所有物として証明できる仕組みが作れるため先述のような事態は起きず、例えばユーザーが読み終えた中古の電子書籍を売りに出すことも可能になると言います。

Web3の実現に不可欠な「ブロックチェーン」技術

Web3を支える技術が「ブロックチェーン」です。

ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれていて、今までには無い特殊な暗号技術が使用されます。

デジタル資産の取引

ブロックチェーンの基本機能はデジタル資産(暗号通貨、NFTなど)を発行し、取引することです。

特殊な暗号技術によって、取引データの破壊や改ざんが非常に難しいものになっています。

ブロックチェーンでは「ブロック(台帳)」と呼ばれる単位でデータを管理します。

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同じデータを複数のブロック(台帳)で異なる場所に分散し、それらのブロック(台帳)を鎖(チェーン)のように連結してデータを保管します。そのため、「分散型台帳」と呼ばれます。

この仕組みの中で誰かがあるブロックのデータを改ざんした場合には、それ以降の全てのブロックのデータを変更する必要があり、この行為が極めて困難なため改ざんが難しいとされています。

管理者が不要

ブロックチェーンの特徴の一つが「管理者を必要としない」ことです。

従来の中央管理型システムと異なり、取引内容を記録した台帳(ブロック)をユーザー全員が情報共有して管理する仕組みになっています。そのため、特定の管理者が不要になります。

システムダウンを防げる

ブロックチェーンでは取引履歴が複数の場所でコピーされているため、一部のコンピューターがダウンした場合にもシステム全体がダウンすることがありません。

時代は新たな「Web3」へ

最新技術が盛り込まれた「Web3」の時代が近づいています。

中央集権型では無い、情報管理の権力が個人に返ってくる世界では、これまでのビジネスモデルが大きく崩れ変化する可能性が大いにあると考えられています。

Web3時代の今後の動向には注目する必要があるでしょう。