2022.09.12
経営ノウハウ

そのブランディング、間違いだらけ!?正しく差別化を図る方法

「ブランド(brand)」は元々、牧場で自分の家畜を区別するために焼印を付ける意味の「ブランダー(brander)」という北欧の言葉が由来だと言われています。

現在は「ブランド」と言えば商品やサービスの品質を識別できるものと考えられていて、競合との差別化を図るための重要なマーケティング戦略でもあります。

「ブランドは資産である」アーカーの”ブランド論”

デビッド・アーカーはアメリカの経営学者であり、ブランドに関する数多くの著書を出しているマーケティング理論家・コンサルタントです。

かつて多くの企業が「ブランド=看板・広告」と考えていたところに、アーカーの「ブランドには資産価値がある」という発言が大きな衝撃を与えたと言われています。

広告代理店にお金を払って良質な看板を出す事を重視するのではなく、ブランドを商品や人材と同様に資産としての価値だと考えることが重要です。

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スターバックスが証明したインナーブランディングの絶大な効果

CMや広告を出さず値下げもせずに圧倒的な人気を誇っているスターバックスコーヒーはブランディングの例としてに頻繁に登場します。

その中でも特に多く取り上げられるのが「インナーブランディング」です。

インナーブランディングとは、ブランディングを社外ではなく社内に向けて行うことです。

スターバックスの実質的な創業者であるハワード・シュルツはスターバックスが成長し、一般的な考え方であればフランチャイズ方式を採用して当然の店舗数や規模になってもなお、スターバックスは直営店にこだわりました。

フランチャイズシステムのデメリットである「接客の質とブランドの統一の難しさ」を重大なリスクと捉えたため直営店にこだわり、広告費をかけずに人材教育を最優先しました。

人材教育といってもスターバックスの人材教育にマニュアルが無いことは有名です。スターバックスの理念・マインドの共有が重視されています。

理念・ マインドをしっかりと理解した人材が育てば、その人物の行動や選択はおのずと企業が目指す対応となるわけです。

スターバックスの成功は、こうしたインナーブランディングの価値の大きさを表した例だと言えます。

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ブランディングでは、デザインポリシーの共有が重要

ブランドデザインはユーザーにとっての第一印象という非常に大切な役割を担っています。

ブランドデザインで注意しなければならないのは一貫性です。ウェブサイトやSNS投稿にパッケージなど、ブランドデザインが登場する場面は多岐に渡ります。

ここで各部門や担当者間でブランドデザインの方向性やポリシーが共有されていないと、アウトプットによってバラつきが出ます。

その結果、肝心の商品やサービスが一貫性のないブランドデザインの集合体となってしまうと、強いブランディングは実現できなくなってしまいます。

ブランドデザインのポリシーを共有する事は非常に重要です。

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“絞り込み、開拓し、制する”のがブランディング

ブランドアイデンティティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ブランドの特徴や個性を明確に提示して、顧客がイメージを持てるように働きかけることです。

ブランディングにおいては幅を広げてリーチを増やす発想ではなく、反対にカテゴリーを絞り込み開拓しカテゴリーを制するのが有効と考えられています。

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スターバックスの「サードプレイス」

サードプレイス」とは、自宅や学校・職場とは別の居心地のいい「第三の居場所」です。

このサードプレイスという言葉はスターバックスが商標登録をしています。つまり、それほどまでにスターバックスのブランディングにおいて重要なキーワードである事が窺えます。

この事からもスターバックスはコーヒーを売る企業ではなく、居心地のよい場所(サードプレイス)を提供する企業として展開していて、ファン(顧客)はサードプレイスへの対価を払っているのだと言われています。

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エナジードリンク”Red Bull”は「成分」をアピールしなかった

2021年には世界で98億400万本を売り上げた有名エナジードリンクの”Red Bull(レッドブル)”は、それまでエナジードリンクの宣伝としてはセオリーとなっていた「成分のアピール」をしませんでした。

「翼をさずける」というメッセージを押し出し、ブランドイメージにマッチするスポーツやフェス、イベントを配信するインターネットテレビ局などのメディアを作って、メッセージとイメージを強力に発信していきました。

「劇的なパフォーマンス向上」「エネルギッシュ」といったイメージを確実に定着させて唯一無二のポジションを築き上げていったのです。

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まとめ

「上質な商品やサービス」「しっかりした広告」のみで成立するわけではないのがブランディング。

唯一無二の存在として圧倒的な売り上げを達成して長期的な成功を収めたい場合、正しい道筋のブランディングは大きな力となります。

その本質は「ゼロから市場を創り出し制すること」であると言えるでしょう。