2022.12.29
建築業界動向

知っておくべき3Dプリンター住宅のデメリットは?メリットと今後の課題

「車を買う値段で住宅購入できる」「30年の住宅ローンから解放される」と、3Dプリンター住宅が大きな話題を呼んでいます。

最新技術の活用に大きな期待が寄せられる一方で、3Dプリンター住宅のデメリットが気になる人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では3Dプリンター住宅のメリットと、知っておくべきデメリットについて解説します。

3Dプリンター住宅とは

平面への印刷ではなく、立体物の成型を行えるのが「3Dプリンター」です。

家庭用の3Dプリンターでは大きな物の成型は難しいですが、業務用の3Dプリンターには大きなパーツに対応しているものがあります。

この3Dプリンターを使用して作られた家が「3Dプリンター住宅」「3Dプリンターハウス」と呼ばれています。

3Dプリンター住宅のメリット

3Dプリンター住宅のメリットを簡単にまとめて解説します。

建築スピードが速く、工期が大幅に短縮される

3Dプリンター住宅では、最短24時間ほどでひとつの住宅を完成させられるほど工期が短縮されます。機械作業のため24時間休み無く作業を進められることも、建築スピードの速さに繋がります。

低コストで建築が可能

3Dプリンター住宅では、従来の建築方法と比較して建築コストを75〜80%も削減できます。

3Dプリンター住宅の建築では、材料のほとんどがコンクリートです。運搬が必要だった壁や柱などの大きな資材を現地で成型できるため、物流費を減らす事ができます。

それに加えて人手がかからない点など、複数の要因によって全体の建築コストが大幅に抑えられます。

CO2排出量を削減できる

3Dプリンターの活用には、CO2削減に対する期待も寄せられています。

製造現場の材料消費量や、製造にかかる時間が短縮されるため、消費エネルギーも削減されます。加えて、資材輸送のエネルギー消費も抑えられます。

(pixabay)

3Dプリンター住宅のデメリット

3Dプリンター住宅のデメリットや、今後の課題について解説します。

日本住宅の基礎工事に未対応

日本の建築では鉄筋を内部に入れて強度を上げる必要がありますが、現時点で3Dプリンターで可能なのはコンクリート造形です。

地震大国と言われる日本で必要とされる基礎工事に3Dプリンターの技術が対応できるかどうかは、今後の重要な課題です。

原材料が建築基準法に対応していない

日本で住宅を建築するには建築基準法で定められた材料を使用する必要がありますが、3Dプリンター住宅で原材料として使用される特殊なモルタルなどは建築基準法に対応していません。

鉄骨、鉄筋などの指定建築材料を使用しない場合、その建築物の安全性の証明として国土交通省からの個別の認定が必要となります。

また、住宅を建築するためには「建築確認申請」の手続きを行う必要があります。

10㎡以下の建築物は建築確認申請の対象外となりますが、10㎡を超える住宅は建築基準法を準拠する必要があります。

木造ではない

現在の3Dプリンター住宅は木造家屋を前提としていません。

そのため、木の温もりが感じられる木造住宅を求める人にとっては、その点がデメリットになるでしょう。

まとめ

3Dプリンターを活用した住宅建築では、コストを抑えて工期を短縮できるメリットがあり、CO2排出量の削減にも期待が寄せられています。

その一方で、日本住宅の基礎工事や建築基準法へは未対応である点が今後の大きな課題です。

今後、どれだけ日本の住宅基準に対応できるかが注目されています。

【参考サイト】

https://demerit.reviews/build-a-house-with-a-3d-printer/#index_id6 

https://shimofusa-technology-fudosan.com/technologies/threedprintinghouse 

https://i-maker.jp/blog/3d-print-co2-reduction-3122.html 

https://digitalstation-chiba.com/news/3dprint_house/ 

https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-4080/ 

https://restyle.tokyo/forbeginners/3D-printer-house.html#no2-2 

https://www.sumave.com/20220921_22390/