2022.05.26
建築業界動向

【住宅業界に激震】3Dプリンターの活用で100平米・300万円の家が建つ時代がくる?

さまざまな業界で活用されている「3Dプリンター」
住宅業界でも、家具を3Dプリンターで作成している会社や、新築やリフォームの設計の際に、間取りや仕上がりのイメージを施主と共有するために活用しているケースがあります。

日本では、建築基準法が適合しないことから、建物本体を3Dプリンターで建てることは難しいとされていました。
そんな中、ついに国内で初の「3Dプリンター住宅」が完成し、業界の注目を集めています。

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3Dプリンター住宅とは

3Dプリンター住宅とは、その名の通り、巨大な3Dプリンターを使って家を建てます。
使用される材料としては、コンクリートやバイオセメント、天然素材があげられます。自由自在にデザインできることに加え、超破格の値段で作ることができるため、発展途上国の貧困層の住宅支援を可能にすると注目を集めています。

実際にオランダでは、世界初の居住許可を得た賃貸住宅が2021年に完成し、入居者も決まっているようです。
オランダは、諸外国の中でも、3Dプリンター先進国です。住宅だけではなく、人々の生活を支える「橋」づくりにも3Dプリンターを取り入れています。

しかし、現在の日本の建築基準法では、コンクリートを積み上げた場合鉄筋を使用する必要があることなどが導入を遅らせていました。

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3Dプリンター住宅のメリット

3Dプリンター住宅が世界的に注目されている理由は、次のような複数のメリットが存在するところにあります。

コスト削減

3Dプリンターで家を建てる最大のメリットは価格が安いことです。
先日兵庫県の企業が手がけた3Dプリンター住宅が、愛知県小牧市に完成しました。こちらは住居というよりかは、グランピングで使用されることを想定しているようです。価格は、10平米で300万円で販売予定であると発表されています。


また、2023年の春には、49平米で500万程度で販売を予定しており、将来的には、100平米で300万円までコストカットできる可能性があります。

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工期短縮

今まで、木造であれば基礎着工〜引き渡しまでは大体4〜5ヶ月ほどかかると言われています。

今回、日本で建てられた3Dプリンター住宅は、広さは10平米ほどの小規模住宅ではありますが、24時間足らずで完成しました。
他にもドイツでは、住宅の躯体工事を8日で完成させた事例もあります。延べ面積は160平米の2階建て住宅です。

3Dプリンターで住宅を作る方法は、材料を積み上げて高さを出す方法と、素材を固めたものから形を彫る方法があります。
今回紹介した建物は積み上げ方式で建設されており、こちらが一般的な3Dプリンター住宅の方法になります。

いずれにしても、今までの住宅建設の概念を覆す工期となっており、今後技術の進化によってさらに短縮させることが可能でしょう。

デザイン性

従来の建築工法で難しいとされてきた「曲線」のデザインですが、3Dプリンターでは簡単に設計することができます。それゆえ顧客一人ひとりのイメージを反映させることができ、自由度の高いデザインを提案することを可能にします。

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住宅業界が受ける影響

3Dプリンターで家が簡単に建てられるようになれば、住宅業界に大きな影響があると予想されます。

雇用問題

まずはじめに、職人さんや施工管理の需要が減少します。建設業界では、職人不足や、従業員の高齢化が問題になっていますがそれを上回る雇用の減少となるでしょう。設計士や、給水・排水などの配管工事、電気工事などの仕事は、3Dプリンターではカバーできない作業のため影響はないでしょう。

進む二極化

3Dプリンター住宅が市場に出回れば、マイホームは3000万円〜4000万円するものという概念は崩壊します。

そうなった時に、安さを売りにしている「ローコスト住宅」は厳しい局面を迎えることは間違いありません。
一方、コストがかかっても従来のような木材を使用した住宅に住みたいという人も一定数残るでしょう。そういった顧客をいかに獲得していくか?も重要なポイントです。
他社との差別化、3Dプリンター住宅では建てることができない点を強化していく必要があるでしょう。

まとめ

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将来、私たちが3Dプリンターの家に住む時代もそう遠くないでしょう。

100平米300万円で家が建つことになれば、住宅業界への影響は計り知れないこととなるでしょう。
住宅業界全体の仕事が半減するのではないかと予想もあります。

ウッドショックや半導体不足など、建築・住宅業界では乗り越えなければいけない壁が高く立ちはだかっています。

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