2022.08.08
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【未来人材ビジョン】経済産業省の公表にネット騒然!日本の危機と解決方法とは?

経済産業省による「未来人材ビジョン」が大きな話題を呼んでいます。


ネット上では「衝撃的」「悲しさを通り越して笑えてくる」「驚愕しています」などの声が上がり、日本が直面している危機と解決策についての様々な意見・議論が展開されています。

この記事では、未来人材ビジョンの内容と鳴らされた警鐘、今後の対策をまとめて解説します。

未来人材ビジョンとは

「未来人材ビジョン」は、経済産業省が令和4年5月に公表しました。
未来を支える人材を育成・確保するための大きな方向性と、今後取り組むべき具体策を示しています。

労働力不足がいよいよ深刻化

日本の労働力不足が、今後いよいよ深刻化するとされています。
今回の「未来人材ビジョン」では、日本が抱えている労働力不足に関する危機的な状況が示されました。

生産年齢人口はさらに2/3にまで減少

2025年には、生産年齢人口は現在と比較して2/3にまで減少すると予測されています。

出典|経済産業省

外国人労働力も不足

現在の日本は労働力不足のために積極的に外国人労働者を迎え入れていますが、2030年には外国人労働者が至る所で不足すると予測されています。

出典|経済産業省

「外国人から選ばれない国」という結果

また、日本は「高度人材を誘致・維持する魅力度ランキング」で上位に入る事が出来ておらず、高度外国人から選ばれない国になっている事が明らかになりました。

出典|経済産業省

「未来人材ビジョン」の2大方向性

未来人材ビジョンでは、社会システム全体を見直す必要性があるとしています。
その大きな方向性として「旧来の日本型雇用システムからの転換」と「好きなことに夢中になれる教育への転換」の2つを示しています。

(pixabay)

旧来の日本型雇用システムからの転換

かつての日本型の雇用システムは、長期雇用を前提として長い目でみた人材育成や新卒一括採用が行われます。
終身雇用制度や年功賃金は働き手にとって魅力的だったかもしれません。

旧来の雇用システムの限界

1990年代から旧来の雇用システムの限界が指摘されるようになりました。
日本の経済成長が鈍化し少子高齢化を迎えた現代の日本では、女性や高齢者の労働参加が促進されました。


旧来のシステムは、終身雇用や年功賃金を保障する一方で労働時間や勤務地等会社の指示に従う働き方です。そのため、共働き世帯が増加した現代の生活スタイルには対応できず運用が難しくなった面があります。

対策

旧来の雇用システムからの転換に向けた対策として、以下の内容が示されました。

  • “ジョブ型雇用”の導入のためのガイドライン作成
  • 現代に対応できる税制や社会保障制度に向けた見直し
  • 兼業、副業の一層の推進
  • 学び直し、キャリアアップを促進する仕組み作り
  • スタートアップと大企業間の人材を政府も支援する
  • 地域における人材育成、確保のための機能強化

好きなことに夢中になれる教育への転換

未来人材ビジョンが示すもう一つの大きな方向性が「好きなことに夢中になれる教育への転換」です。

(pixabay)

数学的・科学的リテラシーは高いのに…

経産省が公表した資料を見ると、日本の子供はOECD加盟国中トップレベルの数学的・科学的リテラシーを誇る事が分かります。

出典|経済産業省

しかし、その一方で「数学や理科を使う職業につきたい」と思う子供は少なく、せっかくの能力が活かされていないことが窺えるのです。

出典|経済産業省

社会への当事者意識の低さも明らかに

日本の18歳の「社会への当事者意識」は、かなり低いという結果となりました。
学校教育が理想の社会づくりに繋がっていないと考えられるため、深刻な問題とされています。

出典|経済産業省

雇用の変化に対応した教育を

旧来の雇用システムが見直されデジタル時代を迎えた現代では、教育を「知識の習得」と「探究力の鍛錬」の2つの機能に分ける必要があるとされました。

出典|経済産業省
知識の習得

「知識の習得」ではデジタルを基盤として、誰もが企業や大学の教育プログラムにアクセスし個別に学べる仕組みを目指します。

探究力

「探究力の鍛錬」では社会や生活の課題を見極め、他者との対話を通じての協働的な学びを目指します。

対策

「好きなことに夢中になれる教育への転換」に向けた対策としては、以下の内容が示されました。

  • 教育課程編成の一層の弾力化や、より自由度の高い教育システムに向けた更なる議論
  • 高校が対面とデジタルを組み合わせられるような転換
  • 民間プログラムによる、才能育成や異能発掘のための全国ネットワーク創設
  • 企業の研修教材や大学講義資料等を体系化して誰でもアクセス可能にする
  • スタートアップと大企業間の人材を政府も支援する
  • 大学や高専等における企業による共同講座の設置や、自社の人材育成に資するためのコース・学科等の設置を促進する

未来人材ビジョンは「出発点」

経済産業省は「未来人材ビジョン」が、人事制度や業界の人材育成の在り方の議論に一石を投じるためのものであり、あくまで出発点だとしています。


日本は今、いくつもの深刻な問題を乗り越えて新たな時代を迎えられるかどうかの非常に重要な時期を迎えていると言えるでしょう。

まとめ

経済産業省が令和4年5月に公表した「未来人材ビジョン」では、日本の生産年齢人口の減少や外国人労働力の不足、旧来の雇用システムの限界などについて警鐘が鳴らされました。

今後の対策として、兼業や副業の一層の推進、学び直しやキャリアアップ促進のための仕組み作り、教育の転換などが打ち出されています。

あくまで旧来の制度や在り方についての議論を促すためのきっかけであるとされている「未来人材ビジョン」ですが、現段階で未来を見据えた対策を実行に移せるかどうかが、今後の日本にとって非常に重要です。