2021.09.25
働き方

【建設業界】働き方改革プログラム〜2024年問題とは〜

建設業界は、「働き方改革加速化プログラム」によって、2024年までに変化が求められています。
今まで、働き方改革は建設業では不可能ではないかと言われていました。
また、「残業ができないことにより給料が減ってしますのではないか?」などという不安の声もあります。

今回は、建設業の現状の労働環境や、「働き方改革加速化プログラム」が導入されることで、どのように変わるのかということについて解説します!

(pixabay)

1.「働き方改革加速化プログラム」とは?

「働き方改革加速化プログラム」とは、国土交通省が策定したプログラムです。
2024年4月1日から建設業に対して、主に労働環境や待遇においての改革を指します。

他の業界では、2020年4月に「残業時間の上限規制」が適用されていましたが、建設業界は特例で、長く猶予が設けられています。

具体的にプログラムの特徴について紹介します。

1-1 長時間労働の是正

・週休2日制の導入・・・週休2日対象工事の適用を拡大

週休2日制を導入する企業を評価する仕組みを確立します。
建設業界において週休2日にすることは、最も難しいのではないかと言われています。

元請けと下請けで休日日数に違いが出ることや、そもそもの工期がタイトになってしまうリスクも考えなければなりません。
それだけでなく、日雇い労働者の出勤日数が減少してしまうという問題もあります。

・適正な工期設定・・・発注者に適正な工期設定を求める

適正な工期設定にすることで、長時間労働や現場の負担を減らす目的です。
「適正な工期設定等のためのガイドライン」各発注工事の実情を踏まえて改定も行われています。

また、適正な工期設定になっているのかどうかが分かる「工期設定支援システム」の周知や、活用を進めています。

1-2 給与・社会保険

・スキルや経験に応じて適正な給与を支給

建設業界の給与は、以前に比べると上昇傾向にあるものの、現場で施工に従事する技能労働者への賃金など、まだまだ改善する必要があります。

具体的な取り組みとしては、”CCUS”と呼ばれる「建設キャリアアップシステム」の導入です。
ゆくゆくは、マイナンバーカードとの連携も予定されております。

・社会保険加入をスタンダード化

社会保険に加入していない企業に対して、建設業として更新ができない仕組みづくりを行うなどの動きがみられます。

1-3 生産性向上

生産性向上に関しては、紙ベースからスマートフォンやタブレットを活用したデータの共有や管理というICT化などの最新技術を導入し、業務効率を図るなどの動きが見られます。

2.建設業界の現状

建設業界の現状の労働環境はどうなっているのでしょうか?
人材不足や長時間労働だけではなく、他の業界に比べICT化しにくく労働者一人ひとりの負担が大きい業界です。

参議院常任委員会調査室の調べによると、建設業の残業時間は全産業の1697時間に比べて、339時間多い2036時間となっています。残業が多いと言われている製造業と比べても、80時間を上回る結果となり、建設業界の労働環境改善が急務であると言えます。

出典:参議院常任委員会調査室「建設業における働き方改革の概要―労働環境改善に向けた主な取組―」

3.「働き方改革」に対応できなかった場合どうなる?

2024年に「働き方改革」が適用された時に、”時間外労働の上限規制”があります。
改正前は行政指導のみで、法律上で残業時間の規制はありませんでした。しかし改正後は、法律上で時間外労働の上限が定められます。

違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則(刑事罰)が科されるおそれがあります。
また悪質と判断された場合に関しては、企業名の公表なども考えられますので、注意が必要です。


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4.2024年までにできることとは? 

2024年に備えて、今から企業が取り組むべきことはいくつかあります。

まず、生産性向上や業務の効率化を図ることです。
具体的には、現状の業務で無駄な作業がないかを洗い出し、改善する必要があります。
また、現状の残業時間の把握をすることも大切です。ICTツールや、ソフトウェアの導入など、一朝一夕で実現できることではない為、早めの取り組みを心がけましょう。

5.まとめ

2024年4月まで、あと3年もありません。建設業界において働き方改革は、急を要する問題であるということが言えます。

直前になってから、新システムの導入や労働環境の改善を行うことは難しいことが予想されます。
2024年以降は”36協定”も完全義務化となるため、万が一残業時間超過などがあれば、罰則の対象になりかねません。そうならないよう早めに動き出すことが大切でしょう。