2022.03.30
働き方

【採用/人事】有能なベテラン層を採用する 〜「35歳の壁」を崩す3つの視点〜

「35歳の壁」は、「転職の限界年齢」を表す言葉として転職市場で使われています。

まだ転職が一般的では無かった時代には「転職が可能な年齢は35歳まで」という認識が強く存在し、若年層を積極的に採用する傾向がありました。

それは現代においても引き継がれているため、例えばミドル(中高年)層が転職を考えた時に転職希望者は自身が「35歳の壁」を乗り越える努力をします。

しかしその一方で、現在の転職市場においては採用する企業の立場から積極的に「35歳の壁」を崩す事が、自社が求める有能な即戦力を持つ人材が採用できる可能性を高めるかもしれないのです。

 

「35歳の壁」について理解する

まずは「35歳の壁」が実際にどのようなことなのかを考えていきましょう。「中高年の転職事例が増加傾向にある」とも言われる現代で、実際のミドル層の採用を取り巻く状況はどのようになっているのでしょうか。定義や数字を見てみる必要があるかと思います。

(pixabay)

 

そもそも何故「35歳」で線引きがされているのか?

「転職の限界年齢は35歳」と認識された理由のひとつとして考えられるのは、厚生労働省による「若年労働者」という用語の定義が「満15〜34歳」とされている事でしょう。


出典)厚生労働省|「雇用の構造に関する実態調査(若年者雇用実態調査):調査の結果」

 

若年層の採用を望む企業にとっては、この定義の存在が「採用したい年齢層=34歳まで」という認識として直結するのは自然な事と言えるかもしれません。

 

現在の転職成功者の平均年齢

実際に転職した労働者の年齢層の内訳はどのようになっているのでしょうか。

例えば、厚生労働省による令和3年上半期の転職入職率データを見てみましょう。

出典)厚生労働省|令和3年上半期雇用動向調査結果の概況 

 

若年層と比較するとミドル層の転職率はまだまだ少ない実情が見受けられ、例えば男性の転職入職率の下がり幅は20〜50代までの間で見ると、34歳以下と35歳以上との間での下がり幅が最も大きくなっています。

 

有能な即戦力を採用する、「35歳の壁」を崩す3つの視点

それでは何故、敢えて「35歳の壁」を崩してミドル層に目を向ける事が、有能な即戦力の採用に繋がると考えられるのでしょうか。


(pixabay)

少子化による若年層の母数の変化

少子化問題を抱える日本では若年層の母数が減少傾向にあります。もし20代に絞った人材採用を続けていれば、人材確保は年々難しくなっていくと考えられるでしょう。

特に業界全体の人手不足問題が深刻化している建設業界や後継者問題を抱える中小工務店では、この若年層の母数減少を踏まえた上での採用活動が求められると言えるかもしれません。

 

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次のグラフは、厚生労働省が公表している「日本の人口の推移」に関する資料です。

出典)厚生労働省|労働経済の分析-誰もが活躍できる社会と労働生産性の向上に向けた課題-

 

全体人口の2015年の実績値は1億2711万人ですが、15年後の2030年には1049万人が減少し1億1662万人ほどになると推計されています。そこから更に30年後の2060年には全体人口が8674万人となり、2015年と比較しておよそ68%ほどにまで人口が減少するという推計値が出されています。また、その内訳では14歳以下と生産年齢の人口が減少の一途を辿っています。

 

優秀な人材が眠っている?企業が抱える「余剰人員」とは

「余剰人員」とは、「企業にとって本当に必要な人員を超えて在籍している人員」を意味します。

「余剰」と聞くとマイナスのイメージが浮かぶと思いますが、余剰人員は適切な人員配置をしていてもどうしても出てきてしまうとされています。現代における重要な経営課題の一つとして人材活用の面から取り上げられる事が多い言葉ですが、この余剰人員の中に有能な人材が眠っているために企業にとって「宝の持ち腐れ」になってしまっているケースが少なくないとも考えられています。

「他企業で眠っている有能な人材が、自社の求める人材とマッチする可能性がある」という視点を取り入れることが、人材不足の悩みを解消する糸口になるかもしれません。

(pixabay)

 

「35歳の壁」から見える、有能な人材確保の競争率

若年層に絞った採用では近い将来に競争率が劇的に高まると予測される一方で、ミドル層では有能かつ他企業にとって求められる人材であっても年齢を根拠に転職しづらい環境があることが考えられます。採用の競争率から見ても、今後の採用では敢えてミドル層に目を向ける事が望む人材の確保に繋がるかもしれません。

特にミドル層の転職の難易度を上げている大きな要因が「従来からの転職限界年齢の認識」である事を踏まえると、これまでのデータから考えても現代以降の採用においては従来の認識を早急に見直し、新たな採用の基準やイメージを構築する必要があると考えられるでしょう。

(pixabay)

 

まとめ

転職市場において従来から根付く「35歳の壁(転職限界年齢)」の価値観を敢えて崩す事が、有能な人材確保に繋がるかもしれません。

少子化や生産年齢人口の減少といった問題を抱える現代の日本においては、いち早くその変化に対応できる事が採用側に求められると言えるでしょう。

若手の採用に力を入れると同時に、ベテラン層の実力者採用を取り入れる新たな仕組みを構築する事が企業全体の将来を明るくする可能性は、十分に考えられるのではないでしょうか。