2022.11.14
経営ノウハウ

なぜ今フレームワークはPDCAよりもOODA(ウーダ)ループなのか

仮説検証のフレームワークとして普及しているPDCAですが、最近「PDCAはもう古い。OODA(ウーダ)ループの方が時代に合っている。」という声を聞きます。

OODAが注目される理由、PDCAと何が違って時代に合っていると言われているのでしょうか。

OODA(ウーダ)ループとは

OODA(ウーダ)ループはアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐により提唱された意思決定と行動に関する理論です。現代のビジネスシーンでは「目まぐるしく変化する状況下で効果を発揮するフレームワーク」として注目を集めています。

OODAループフレームワークのやり方4ステップ

OODAループのフレームワークは「OODA」の文字数の通り、4つのステップで進めます。

OODAループのステップ①「観察(Observe)」

「監視・観察」と訳されます。外部状況を「見る・観る」ことで、あるがままの状況を主観ではなくそのまま捉えることです。

OODAループのステップ②「判断(Orient)」

ステップ①の観察をもとにした「状況判断・理解」です。このステップは人がそれぞれに持つ世界観(人生観や受けた教育、過去の経験など)の影響を受けることを踏まえる必要があります。

OODAループのステップ③「決定(Decide)」

OODAループにおける「決定」は直観によるものです。決定は比較検討とセットで考えられるケースが一般的ですが、そうではなくステップ①・②での「観て理解・判断」からの直観で決定します。
(「直観」とは推理せずに瞬間的に本質をとらえることであり、感覚的にとらえる「直感」とは異なります。)

OODAループのステップ④「行動(Act)」

ステップ③の決定を「行動・実行」します。このステップにおいては行動に集中しやり抜く必要があります。行動の途中で立ち止まったり検討する事なく完遂します。

OODAをLOOPする

OODAループにおける「ループ/LOOP」は、過去を振り返って吟味する事ではない点に注意が必要です。見直しではなくループ、繰り返しです。

(pixabay)

ショートカット「高速OODAループ」が本題

OODAループは高速でループさせるためのショートカットのノウハウが本題だと言われています。
基本のOODAループ4ステップについては、さほど物珍しくもないと感じるかもしれませんが、重要なのはショートカットです。具体的な例を見てみましょう。

高速OODAショートカット例①判断→行動

状況が分かりきっている場合に有効なショートカットです。
例えば何百、何千人もの顧客に対応した経験を持つベテラン販売員は入店者を見るだけ、一言交わすだけで買うか買わないか、どれほどの顧客になる可能性があるか判断がつくでしょう。
取るべき対応も体に染み付いているので「観察・決定」のステップをショートカットできます。

高速OODAショートカット例②(段落)判断→(観察→)行動

特定の状況下において答えが一つである場合に有効なショートカットです。ループをステップ②の「判断」からスタートさせます。事前に行動条件を決定しておく事で判断に要する時間を最短にして、観察から行動にほぼ直結させます。
マニュアル化に近いため、問題集で例えるなら基礎演習のような基本的な対応に活かすべきショートカットと言えるでしょう。

予測困難な状況ならショートカット無し

過去に経験が無く、完全に未知の状況ではショートカット無しのOODAループを実践します。

PDCAよりもOODAループが時代に合っていると言われる理由

OODAループがPDCAと比較された上で時代に合っていると注目される大きな理由としては、やはり「行動の高速化」が考えられます。

PDCAは高速化に適さない?

PDCAは決められた工程の生産性や品質改善のために有効とされ、第一ステップに「計画(Plan)」を置くのに対してOODAは「観察(Observe)」を第一ステップにしています。
OODAは「意思決定」のためのフレームワークで、どのような状況下でもスピーディかつ的確に行動する点に焦点があてられています。
行動が重要な場面において入念な計画に時間を割いていると、その間に変化の波にのまれて計画自体が頓挫するという深刻なリスクがあります。
そのため、仕事の向上・改善のためのフレームワークとしてPDCAが適切なのかどうか判断できるようにフレームワークの選択の幅を広げる重要性と、行動速度をアップさせるOODAに注目が集まっていると言えるでしょう。

(pixabay)

一層の「行動の高速化」が求められている

現代はテクノロジーの進化に伴ってシステム・ルールなどの根本的な価値観や概念もより高速に変化する時代だと考えられているため、ビジネスにおける行動は完璧さ以上に初速が重視される傾向がかなり強まっていると言えます。

(pixabay)

まとめ

OODAループが、生産性の低さに悩む組織や個人の問題解決の糸口となる可能性が高いと言われています。慎重に行動する事にも利点がありますが、変化が高速化している時代においては慎重さがリスクに変わる場面も増えるでしょう。
OODAループはこれからの社会人にとって必修科目と言っても過言ではないかもしれません。