2022.04.06
コラム

【エッセンシャル思考 Vol.2】 「業務多すぎ…」の悩み解決!不要な仕事から離れる思考術

今回は「エッセンシャル思考」コラムの第二回です。

このコラムでは、ベストセラーの「エッセンシャル思考」を「業務過多の悩み解決」の視点から見ていきます。

第一回では「成功のパラドックス」「学習性無力感」についての理解を深めて、主に「やるべきでない事」から離れる重要性について考えました。今回は「やるべきでない事から離れる具体的な方法」について見ていきましょう。

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【エッセンシャル思考 Vol.1】「仕事が多すぎる」業務過多から解放される、有名CEOの思考法

「やるべきでない事」を捨てる

“「絶対やるべきこと」を決めるのは、エッセンシャル思考の第一歩だ。”

引用|エッセンシャル思考–p.136

(pixabay)

「絶対やるべき事」を決められる人になるためには、必然的に「やらなくて良い事」に気付ける力が求められると考えられるでしょう。

しかしながら、やるべきでない事に気が付けたとしても離れる行動を取るのは一見シンプルなようで実現が難しいともされます。

例えば「今やっている事も新しく振られた仕事も大事。だから、全てやるしかない」と、大事な事が多くて止むを得ず業務を抱え込むことになったというケースは多いのではないでしょうか。

このようなケースの背景として、エッセンシャル思考では「人が自己の所有物に対して抱く評価」に着目します。

人は「今、手元に持っているもの」を高く評価する

“人は自分が所有しているものを実際より高く評価しがちである。”

引用|エッセンシャル思考–p.136

(pixabay)

例えばクローゼットの整理や大掃除、引越しでの片付けで「これはずっと使っていないから、捨てよう」と考えたものの、いざその不用品を手放そうとした途端に「いや、やっぱり使うかもしれない」という思いが湧き上がり捨てるのを躊躇してしまう、という経験は多くの人にとって共感できることかもしれません。

不用品が手放せないのと同じ様に、既に手元に抱えていればそれが「やらなくて良い事」であっても「やるべき事」のように感じてしまい、手放すのが難しくなるといった可能性が考えられるでしょう。

「断らない人」より「断る人」の方が評価が高い?

“人はノーと言う勇気のある人を高く評価し、尊敬するのだ。”

引用|エッセンシャル思考–p.158

(pixabay)

「頼みを引き受ければ信頼されるのではないか、評価が上がるのではないか」と考えてまず引き受けることを優先したり、あるいは「頼みを断れば、評価が下がるのではないか」と感じて引き受けざるを得なくなった、というケースもあるのではないでしょうか。

相手の期待に応えて仕事を引き受けるので、その瞬間には相手を喜ばせられるでしょう。しかし「エッセンシャル思考」では、その喜びや信頼が長続きしないという点に注目します。

(pixabay)

相手が喜んでくれるので、もしかすると自分自身も引き受けた時は「断るより気分が良い」と感じるかもしれません。しかしその引き受けた事がやらなくて良い事だった場合には、時間が経てば「やるべき事ができていない」といった不安や不満が生まれるようになるでしょう。このことは「成功のパラドックス」からも予想できると考えられます。

そうなれば「どうして引き受けてしまったのか」と自責の念に駆られたり「どうしてこんな事をやらせるのか」と相手を恨むかもしれません。すると当然、人間関係の不和を招く可能性が高まります。不要な不安や不満を予防するために「ノー」と言える人の方が長期的に見て良好な人間関係を築けると考えられるのではないでしょうか。

“好印象よりも、敬意を手に入れる”

引用|エッセンシャル思考–p.162

(pixabay)

「ノー」と言えばその瞬間には相手をがっかりされるかもしれません。相手は期待して依頼してきていますから、むしろがっかりしない人の方が少ないでしょう。

しかし「断ること」は「なんでも簡単に引き受けられるわけではない」という事も示します。決してなんでもやってくれる人というわけではなく、限られた時間を割いて対応してくれているのだということを相手に実感してもらえるということです。

そのため、相手を傷付けずに上手に断る事さえできれば「その瞬間の好印象」を失う代わりに「敬意」を手に入れる事が出来るかもしれないのです。

断り方

断ることの重要性を理解しても、やはり「言うのは簡単だが、実際にはそうはいかない」と感じる人も少なくない理由として、やはり「断り方」が挙げられるかもしれません。

(pixabay)

人はなぜ「断る」ことを恐れるのか

そもそも、どうして「断る」という事には不安が付き纏うのでしょうか。

“人は関係性に縛られた生き物である”

引用|エッセンシャル思考–p.157

(pixabay)

「人は一人では生きていけない」それを理解していれば当然、人は人間関係が壊れる事を恐れます。他人の期待を裏切る事には少なからず躊躇するでしょう。頼まれごとを断ろうとした時には「周りからの評価を落としたりチャンスを逃すかもしれない」といった不安が伴います。

どれだけ優秀な人でも、他人からの協力や評価を完全に失くせば人間社会で成功するどころか生きていくことすら困難になるのは想像に難くありません。そのため、本当はやるべきとは思っていない事でも恐怖心によって判断基準がブレてしまい「イエス」の答えを選択している場面があると考えられます。

どんな立場の人にとっても断ることには不安が付き纏うものであるため、不安にならずに「ノー」を言うには、「ノー」を上手に伝える確かな技術が必要だと言えるでしょう。

具体的な断り方の例

代替案を示す

(pixabay)

頼まれごとをそのまま引き受ける事が出来なくても、例えば納期を変更できれば出来るといったような代替案を探して相手に提案する断り方です。

A「大変申し訳ありませんが、今〇〇で手一杯なので、難しいです。」

B「今は〇〇で手一杯のため難しいですが、この業務が完了する◯日以降は可能です。いかがでしょうか。」

Aの断り方も丁寧な言い方ではあるでしょう。しかし、出来ない事だけを伝えるよりも引き受けられない理由を明確にした上で更に代替案を提示する「ノー」は、相手に納得されやすく受け入れられやすいでしょう。

依頼を引き受けた場合に生じるリスクを伝える

(pixabay)

A「申し訳ありませんが、今〇〇を進めているため対応できかねます。」

B「対応する場合に、今進めている〇〇を一旦中止せざるを得なくなりそうです。そのため、〇〇の完了が予定よりも◯日ほど遅くなる可能性があります。」

Aのように「忙しいから出来ない」といった内容のみを伝えた場合には、実際の業務状況が相手には伝わらない事もあり個人的な主観で断っていると捉えられるかもしれません。Bでは引き受けた場合にその分出来なくなる業務をリスクとして伝えながら相談を進めています。全体の業務進行について建設的に考える姿勢が窺える回答であれば、「ノー」の意味を含んでいてもマイナスな印象を持たせずに、業務過多に陥る事が防止できるかもしれません。

断る際の判断基準は?

断ることが難しいとされる背景を理解し、「断り方」のスキルを身につけることで「やるべきでない事」から離れて「やるべき事」に集中する。それが習慣となれば、成果は自ずと伴ってくるでしょう。

ところで、そもそも「やるべきかどうか」はどのように判断すれば良いのでしょうか。

「エッセンシャル思考」コラムの第三回では、やるべきかどうかの判断基準の設定方法をご紹介します。

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