メンバーを成長させられないリーダーが「良かれと思って」している12の危険なコミュニケーション。
「アクティブリスニング」という言葉を耳にした事があるでしょうか。話の聞き方によって相手の成長を促進させるコミュニケーション技法ですが、近年ではマネジメントの効率化にも必須と言われるようになってきました。
「話を聞く」というと受け身をイメージしがちですが、実際には話の聞き方によって相手の成長を促進させる事もできれば妨げる場合もあり、聞き手の在り方が話し手に対して大きな影響を与えることが分かっています。
正しいアクティブリスニングをするには、相手の成長を妨げる12のコミュニケーションについても必ず学んでおく必要があります。
目次
「能動的」な聞き方
「アクティブリスニング」は「能動的な聞き方」「共感的リスニング」で、「傾聴」と表現される場合もあります。
アメリカの心理学者カール・ロジャーズとリチャード・ファーソンが1957年に同じタイトルの論文で「アクティブリスニング」という用語を作り出しました。
そして同じくアメリカの心理学者であるトマス・ゴードンが、1963年に「アクティブリスニング」の用語を採用した親教育プログラムを開始しました。
アクティブリスニングはリーダーシップでも、親子間においても驚くべき高い効果を発揮しました。その効果の特徴は、リーダーシップであればチームメンバー自身が、親子間であれば子供たち自身が良い問題解決者になる点です。
アクティブリスニングは相手の問題解決の力を引き出す会話のスキルです。
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基本的な聞き方
アクティブリスニングの基本は、まず、自分の考えや気持ちを一旦横に置きます。相手の考え・気持ちに焦点を当てて共感的な姿勢で話を聞き、否定も肯定もせずに相手の思考や心の中が整理されていくようにサポートします。
アクティブリスニングを阻む12の障害
アクティブリスニングにとって障壁となる「リスニングブロック」の存在があります。トマス・ゴードンのトレーニングでは12の障壁が紹介されています。そこには、普段の会話で多くの人が良かれと思って言う内容が多く含まれているのです。
例えば、相手を褒めたり励ますことは良いコミュニケーションだと思われやすいですが、アクティブリスニングをする際には障壁となります。
アクティブリスニングを正しく行い、相手の問題解決能力を引き出す話の聞き方をマスターしたい人は、12の障壁を知る必要があります。
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命令・指示
命令ほど強い言葉で無くても、相手に何をするべきか伝える事が含まれます。
- あまり悲観的にならない方が良いよ
- 一旦はじめに戻って、問題に取り組もう
- 間違いは正さないといけない
注意・脅迫
- 〇〇してみたらどう?
- もし自分がその立場だとしたら、〇〇するよ。
- もう一度、考え直した方が良いんじゃない?
講義
事実・情報・論理や自身の意見などを用いて、相手の判断に影響を与えることです。
- それは正しいと思うよ。なぜなら…
- その話の中の〇〇について考えてみよう。事実としては…
- それは例えば〇〇について考えてみると、理解出来ると思うよ。
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批判・非難
相手の判断に対して、否定的な評価を下すことです。
- なんでそんなことしたの?
- それは愚かなことだよ。
- あなたの考えは利己的だよ。
賞賛・同意
相手の判断に対して、肯定的な評価をしたり同意することです。
- あなたは絶対に正しいと思うよ。
- あなたは頭がいいね。
- あなたは若いし、これから多くの可能性がある。
侮辱
相手の存在価値に関わる部分にディスカウントの評価をすることです。
- あなたは管理がずさんなんだよ。
- あなたは少し自分勝手なんじゃないの?
- あなたは相応の努力をしていないのに、弱音を吐いている。
分析・判断
相手の判断について解説を行ったり、相手の言動の根拠や原因を分析することです。相手の気持ちを診断済みだと伝えることも含まれます。
- あなたは嫉妬しているんだと思うよ。なぜなら…
- 今、あなたはかなり怒っているね。だから〇〇だと言っているんだ。
- あなたは今、疲れているからそう感じているんだと思うよ。
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激励・同情
相手をさらにプラスの方向へ持って行ったり、マイナスの感情から抜け出させようとして、相手の気持ちを良くしようと働きかけることです。
- それは可哀想に。
- 諦めないで頑張ってね。
- あなたなら、きっとやれば出来るよ。
質問・尋問
原因や理由を探します。自分が相手の問題を解決するために役立つ情報を相手から引き出そうとすることです。
- なんで?
- 何があなたにそう感じさせているのかな?
- 誰かに何か言われたの?
ごまかし・中止
問題と向き合わないように、冗談で紛らわす等で相手の注意を他に逸らすことです。
- 明るい事考えるのが一番だよ。〇〇の話でもしよう!
- パーっと飲みに行って忘れよう。
- まぁ、なんとかなるんじゃない?
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ついついやりがちな「12の障壁」
人が成長していくにあたって高い効果を生む事が分かっているアクティブリスニングですが、その効果を遠ざける12の障壁に十分な注意が必要です。
誰かの悩み相談を受けるとき、誰かを指導する立場になった時など、気がつかずに12の障壁コミュニケーションをとってしまっていませんか?
アクティブリスニングを正しく行うには、十分な練習が必要と言われています。12の障壁をしっかり理解して正しいアクティブリスニングのスキルを身につけましょう。