日本の3Dプリンター住宅6棟完売 2023年は海外販売開始へ
近年、大きな話題を呼んでいるのが「3Dプリンター住宅」です。
コストや工期を大幅に削減できる事から、従来の建築や住宅購入の常識を覆すと言われています。
日本国内において、これまで3Dプリンター住宅に関しては、海外における技術の進捗を最新情報として知らせるニュースが目立ってきました。
しかし、国内でも3Dプリンター住宅がついに本格的に実用化され、2023年には海外販売を開始予定など動きが広がっています。
そこで、この記事では日本国内での3Dプリンター住宅の動向について解説します。
目次
国内の3Dプリンター住宅、初回販売分6棟が完売
セレンディクス株式会社(兵庫県西宮市、以下セレンディクス)が手掛ける、3Dプリンターによって作られる球体住宅が22年度に販売され、6棟が完売しています。
3Dプリンター住宅を日本で実用可能にする「球体住宅」
日本で3Dプリンター住宅を実用化させるにあたっては、国内の建築基準法や基礎工事の条件の面などで課題も多いのが実情です。
しかし、22年度に完売した「球体住宅」は床面積10平方メートルのサイズのため、一定の条件を満たせば建築確認申請が不要です。
「グランピング」や「趣味の空間」としての3Dプリンター住宅
22年度に完売となった国内の3Dプリンター住宅は床面積が10平方メートルサイズということもあり、一般的な住居としてでは無く、所謂「離れ」といった活用方法が計画されています。
グランピング施設や店舗、趣味を楽しむための空間、茶室などとして設置される予定です。
3Dプリンターの「球体住宅」が24時間で完成、330万円で販売
3Dプリンター住宅の大きな特徴は「工期の短さ」と「低価格」です。話題になっている球体住宅は24時間で施工が可能で、日本での販売価格は330万円です。
機械で休みなく作業が進められて、物流費も抑えられ、人手がかからないといった複数の要因によって、従来の住宅建築では想像もつかなかった圧倒的な施工スピードと低コストを実現しています。
有名百貨店の3Dプリンター住宅「福袋」が話題に
有名百貨店の高島屋が、2023年の年明けの福袋で「3Dプリンタ製の家」を販売した事も大きな話題を呼んでいます。
1棟の限定販売で、価格は家具付きで330万円、「”Sphere(スフィア)”3D プリンターハウス 夢袋」として、全国の高島屋15店舗で1月2日から応募を受け付けました。
1月中旬までに抽選を行い、当選者に連絡後、2月に納品するとしています。
(pixabay)
日本の3Dプリンター住宅が2023年に海外販売開始へ
セレンディクスは2023年に3Dプリンター住宅の海外販売を開始予定です。
オランダや中国など5カ国の建設地に供給を行い、製造を現地メーカーに委託するとしています。
これまでにも、問い合わせは国内のみならず国外からも多くあったものの、3Dプリンターの数が足りない状況でした。
「人が住むための3Dプリンター建築」も進められている
セレンディクスは現在、慶応義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターに研究・設計・監修を依頼して、「人が住むための、3Dプリンター住宅」に関する課題解決に取り組んでいます。
日本の建築基準法をクリアした上で、広さも確保し、強度や耐火性、断熱性を担保した3Dプリンター住宅を、現在の通常の住宅価格のおよそ10分の1の、500万円程度で販売することを目指しています。
まとめ
日本国内でも3Dプリンター住宅が徐々に実用化されており、日本の建築基準法や基礎工事の面でのハードルをクリアできる床面積10平方メートルサイズの「球体住宅」が国内で販売され、6棟が完売となりました。
球体住宅を販売しているセレンディクスは、2023年に3Dプリンター住宅の海外販売を予定しています。
球体住宅の用途は、現在はグランピングや店舗などが予定されていますが、人が住む用途での3Dプリンター住宅を今後建築するための取り組みが進められています。
【参考サイト】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF200W70Q2A021C2000000/
https://note.com/handakunihiro/n/n4699600e59ab
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/24/news140.html
https://news.sharelab.jp/cases/construction/fujitsubo_220518/