SWOT分析のやり方、もう古い?時代遅れと言われる理由は?
SWOT分析は広く用いられる、経済産業省ホームページ内でも紹介されているフレームワークです。経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法のひとつで、事業の状況を把握するために強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目を分析します。
目次
SWOT分析のやり方
SWOT分析のやり方を整理してみましょう。基本のSWOT分析では、事業戦略のヒントを得られることが期待されています。
事業状況を4つの項目に分ける
SWOT分析ではまず、事業の状況を4つの要因に分けます。内部環境における2つの要因と、外部環境における2つの要因を合わせた4つの要因です。
【POINT】
内部環境か外部環境かの判別は「自社でコントロール可能かどうか」で見ると分かりやすいでしょう。コントロール可能であれば内部環境、コントロール不能なら外部環境の要因です。
強み(Strengths)
【長所、得意なこと】
組織(個人)の特質において、目標を達成する上でプラスに働く要因です。例えば、ブランド力や品質・技術力などです。(内部環境)
弱み(Weaknesses)
【短所、苦手なこと】
組織(個人)の特質において、目標を達成する上で障害となり得る要因です。例えば、立地の厳しさや認知度の低さなどです。(内部環境)
機会(Opportunities)
【社会・市場などの変化でプラスに働くこと】
外的要因で、プラスに働くものです。例えば、市場規模の拡大や成長率上昇などです。(外部環境)
脅威(Threats)
【社会・市場などの変化でマイナスに働くこと】
外的要因で、マイナスに働くものです。例えば、競合の増加や景気の悪化などです。(外部環境)
(pixabay)
外部環境における要因(機会・脅威)を分析する
4つの項目を整理したら、まず外部環境の方から分析をスタートします。
外部環境が内部環境に影響を与える場合があるため、外部環境から先に分析するのが適切であるとされています。
外部環境の分析には、よく用いられる2つのフレームワークがあります。
PEST分析(マクロ)
「PEST分析」は、やや俯瞰的な分析に用いら、以下の4つの要素で外部環境を分析します。
- 政治(Politics)
- 経済(Economy)
- 社会(Society)
- 技術(Technolgy)
3C分析(ミクロ)
「3C分析」は、より近い視点の分析に用いられ、以下の3つの要素で外部環境を分析します。
- 自社環境(Company)
- 競合環境(Competitor)
- 市場環境(Customer)
内部環境における要因(強み・弱み)を分析する
内部環境の分析によく用いられるフレームワークが「4P分析」です。次の4つの要素で分析します。
- 商品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- 販売戦略(Promotion)
4項目から事業戦略のヒントを得る
整理・分析した4つの項目から、今後の事業戦略のヒントを得ることが出来ます。
得られたヒントを元に、限られた経営資源を最も最適に活用する戦略を策定していきます。
(pixabay)
クロスSWOT分析
基本のSWOT分析から更に一歩踏み込んで、より具体的に戦略を見出すのがクロスSWOT分析です。
SWOT分析の2つの項目を掛け合わせるので、クロスという名称が付いています。
掛け合わせ方によって見出せる戦略が変わってくるため、それぞれの掛け合わせ方の特徴を掴んでおく事が重要です。
(pixabay)
S(強み/+)×O(機会/+)=SO戦略
SO戦略は、内部環境と外部環境の両方がプラスの状況です。
組織(個人)の強みをチャンスの中でどう活かしていくのかという、プラスをさらに高めていく事業戦略を策定していきます。
S(強み/+)×T(脅威/-)=ST戦略
ST戦略は、内部環境がプラス、外部環境はマイナスの状況です。
競合に対して組織(個人)の技術やブランド力で差別化したり、厳しい市場を独自の取引ルートで乗り切るなど、外部の脅威に対して組織(個人)の強みを活かして切り抜けるような戦略を策定していきます。
W(弱み/-)×O(機会/+)=WO戦略
WO戦略は、内部環境がマイナス、外部環境がプラスとなる領域です。
市場規模が拡大しているにも関わらず競合に遅れを取っているような場合に、組織(個人)の弱みをいかに克服できるかといった戦略を見出していきます。
W(弱み/-)×T(脅威/-)=WT戦略
WT戦略は、内部環境と外部環境の両方がマイナスの状況です。
組織(個人)の弱みに対して外部環境から追い打ちがかかっているような厳しい状況において、危機を乗り越えるための戦略を見出します。
SWOT分析が時代遅れだという意見が挙がる理由
SWOT分析が現在も使われている一方で、時代遅れだという声が聞かれます。
「経済成長時代の分析」と言われる”SWOT”
SWOT分析が出来たのは1960年代とされています。
「時代が進み多様なビジネスが飽和しがちな現代においては、SWOT分析は効果が無い」という意見があります。
(pixabay)
SWOT分析は、他のフレームワークと合わせて活用すべき
SWOT分析は情報整理の機能が非常に強いため、戦略策定にまで繋げて現代のビジネスに活かすためには、他のフレームワーク等と合わせて活用する必要があります。
外部環境の分析にPESTや3Cを用いたように、SWOTのみで完結させようとせずに他と組み合わせる方が良いでしょう。
(pixabay)
まとめ
SWOT分析は、単体で完結させる方法では確かに現代のビジネスとはマッチしない側面があります。
その一方で、現代でも使用できる「情報整理に有効なフレームワーク」であると言えるでしょう。
SWOT分析は、特に自社ビジネスの現状を整理したい場面で取り入れると良いかもしれません。