2022.04.25
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問い合わせ急増中「家庭用核シェルター」ウクライナ情勢、北ミサイルに備えて需要高まる

世界で唯一の被爆国である日本。
他国と比較すると日本の「核シェルター」に対する関心は無に等しいものでした。
しかし、ウクライナ情勢の影響で、ここ最近では爆発的に問い合わせが増加しているようです。

本記事では、日本における核シェルターの現状と、どのぐらい需要が高まっているのかに関して解説していきます。

(pixabay)

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「核シェルター」普及率

日本における「核シェルター」の普及率を見ていきましょう。

スイスやイスラエルなど、100%の普及率の国がある中、日本での普及率はわずか0.02%にとどまる結果となりました。

スイスでは、核シェルターの設置が法律により義務づけられていることや、設置費用の一部を国が負担することで、高い普及率を保つことができています。
また、下記データには記載されていませんが、北朝鮮と隣接している韓国のソウルでは、脅威の普及率「300%」越えとなっています。
街中に公共のシェルターを設置し、市民が逃げれるように対策しています。

参考:日本核シェルター協会

日本で核シェルターが普及しにくい理由

なぜ、日本は被爆国でありながら核シェルターの普及率が著しく低いのでしょうか?
理由は様々ですが、大きく分けて3つご紹介します。

災害が多い

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日本は、世界有数の「地震大国」です。世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の内2割は日本周辺で起きています。
また、日本は海に囲まれた島国であることから、地震が発生すると津波の被害も想定しなければなりません。
他国では基本的に地下に作られることが多い「核シェルター」ですが、日本では地下水位の高い扇状地や沖積平野に住宅を建てざるを得ないために湿気や防水対策に問題が発生し易く、防水を完全にしても従来のように断熱が行なわれない地下室では夏の結露を避けることが難しくなります。
コストが基本的に高くなる「RC造」にさらに工夫を施す必要があり、地上部分より圧倒的に費用が高くなるという事情も加わります。

土地が狭い

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日本は可住地面積が国土の30%程度しかありません。
他国と比較しても、住める土地が少ないと言われています。
地価が高い都心部によく見られる「狭小住宅」では、地上型の核シェルターの設置場所を確保することが困難です。

平和慣れ

最後に日本という国は、77年前にの1945年に終戦してから現在まで、戦争が起こっていません。
戦争経験者が減っていく中で、平和慣れしてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
「核ミサイルは怖いけれど、実際に飛んでくることはないだろう」と考える人が多く、多額の費用をかけて核シェルターを設置しようという動きにつながらないのでしょう。

どのぐらい注目が集まっているか?

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先ほど、「平和慣れ」という言葉を使いましたが、ウクライナ情勢によって、日本でも多くの国民が核ミサイルを意識するようになりました。

下記グラフでは、「核シェルター」をGoogleで検索したところ、ウクライナ侵攻が始まった直後に急上昇していることが分かります。
実際に核シェルターを取り扱っている販売店では、今まで、年間数件だった問い合わせが、1日に10件近くまで伸びている事例もあります。

また、ウクライナ情勢の他にも、新型コロナウイルスのような感染症対策として、シェルターの購入を検討している人も一定数おり、需要の高まりは今後も続くことが予想されます。


マンションの室内に設置できる簡易タイプや、普段はテレワーク使いができるなど、核シェルター以外の使用用途がある”一石二鳥”タイプに関心が集まっているようです。

また、「核シェルター」は設置できないという方には、高気密住宅に空気濾過フィルターをつける
“簡易シェルター”への問い合わせも多く、顧客のニーズに合わせて、各社さまざまな角度から開発に取り組んでいるようです。

まとめ

「核シェルター」が必要にならないことが一番ですが、顧客ニーズは増加しているのが現状です。
シェルター大国と呼ばれるスイスから取り寄せることもできますが、日本の住宅事情に合わせた、
【日本製】の核シェルターに期待が集まっているのではないでしょうか。

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