2021.10.22
経営ノウハウ

【建設業界・住宅業界必見】M&Aのメリットと動向

建設業界のM&Aが活発化しています。後継者不足や、人手不足などを背景に、「売り」「買い」どちらのニーズも年々増加傾向にあります。
本日は、M&Aのメリットや、実際にM&Aを検討した時に気をつけるべきポイントをお伝えさせていただきます。

(pixabay)

1.M&Aとは?

M&Aとは、『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の頭文字をとったものです。複数(二つ以上)の企業を一つに統合することや、他の企業を買うことを指します。広義の意味では、買収・合併の他に、分割・業務提携・資本提携のようにM&Aの種類は多岐に渡ります。
もともとは、海外の企業が企業戦略として活用していた手法でしたが、日本でも少子高齢化が深刻化してきた背景などから2000年以降、徐々に浸透してきました。

 

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2.M&Aの現状とは?

以前まで、M&Aというと「身売り」などとネガティブなイメージを持たれる経営者も多くいましたが、今は経営課題を解決するために「売り手」「買い手」双方にとってメリットがあることが認知されてきました。


引用:マールオンライン|グラフで見るM&A動向

上記の通り、2010年から順調に推移し、2017年には成約件数が3000件を超えました。2019年には、前年の3842件から+246件と4000件と超える着地となりました。順調に伸びていたM&Aの件数ですが、新型コロナウイルスの影響などがあり、2020年は3,730件と前年を割っています。
建設業界では、今後10年以内に高齢者の引退が進むことや、後継者不足が解決しないなどの理由からM&Aの需要はさらに高まると予想されています。
さらにコロナウイルスの問題が無くなれば、M&A市場はより一層の盛り上がりが期待できます。

3.M&A「売り手」側が得られるメリット

M&Aによって売り手側が得られるメリット、解決する経営課題についてお伝えいたします。


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3-1. 後継者不足の解消

M&Aで解消できる課題として、後継者不足問題があげられる。中小企業では、経営者の高齢化が進むことによって、2025年には後継者未定の企業が127万社にのぼると言われています。
経常黒字にもかかわらず、後継者が見つからないことを理由に廃業を余儀なくされることを考えると、M&Aで事業継承することは社会的にもメリットがあると言えます。

3-2 従業員の雇用安定

廃業すると、従業員が職を失い路頭に迷ってしまうことになります。M&Aで売却を選択することで、雇用も継続され従業員を守ることにつながります。また、福利厚生も譲受側の制度が適用されるようになるため、改善される可能性も期待できます。
しかし、売却した後の雇用保証など待遇がどうなるのかをしっかりと確認・交渉しておく必要があるでしょう。リスクが全くないとは言えませんが、いきなり職を失うことと比べると、従業員にとってもメリットと言えるでしょう。

3-3 売却利益の獲得

会社を売却することによって、譲渡益を得ることができます。それだけでなく、廃業を選択した場合には、廃業コストもかかることなどを考えるとM&Aのメリットは大きいと言えます。譲渡益は資産・負債や収益をもとに算定され、通常譲渡側と譲受側の交渉によって決定されます。少しでも高い価格で売却するためには、財務内容を見直し、収益性を高める必要があります。

4.M&A「買い手」側が得られるメリット

次に「買い手」側が解決できる経営課題についてお伝えします。

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4-1. 人手不足の解消

建設業界で深刻な人材不足を解消できるというメリットがあります。特に若手人材や資格保有者は、企業同士で取り合いになっています。M&Aにより即戦力となる、経験者を一気に確保できることは大きなメリットです。

4-2. 事業拡大

住宅業界でM&Aをする理由として、事業エリアの拡大が挙げられます。
シェアを伸ばすためにエリアを拡大しようと考えた時に、イチから市場調査や人材の採用などを行うとなれば、時間もかかりハードルが高くなります。しかし、M&Aで拡大したいエリアにある住宅会社を買収することによって、進出が容易になります。
企業の成長に事業エリアの拡大は切り離せない課題です。

4-3. 技術・ノウハウの取得

買収する住宅会社が、自社と違う技術で施工している場合や、集客方法など、M&Aによって技術力やノウハウを取得することができ大きなメリットとなるでしょう。

5.まとめ

このように、M&Aによって、譲渡側・譲受側どちらにもどれぞれのメリットがあります。しかし、もちろんデメリットもあります。コストの問題や、従業員に与える影響などもふまえて検討する必要があるでしょう。また、M&Aを行うと意思決定してから、実際に成約に至り全てが完了するまでは、平均で9ヶ月ほどかかると言われています。
コストや時間はかかるものの、住宅業界が抱える「後継者不足」や「人手不足」の解消にM&Aは今後有力な選択肢の一つとなるでしょう。