2021.10.19
建築業界動向

【2021年】コロナ禍で高まる「戸建て」需要

コロナ特需と言われている住宅業界では、急速に戸建のニーズが高まりました。

今後、アフターコロナ時代に入った時、住宅業界ではどのような動きが出てくるのでしょうか。

本記事では、戸建住宅のニーズが高まっている理由や、新設住宅着工戸数のデータを参考に今後の住宅業界についてご紹介します。

1.コロナで戸建が注目された理由

なぜ、新型コロナウイルスの流行が戸建のニーズを高めたのでしょうか?

(pixabay)

1-1 リモートワークの普及

戸建のニーズが高まったきっかけとして、リモートワークの普及があります。今まで出社が当たり前だった多くの方が、コロナウイルスの感染拡大により、リモートでのワークスタイルへと変化しました。その結果、自宅にワークスペースを確保したいという声が高まりました。また、リモートワークになると、通勤に便利な都心のマンションに住むより、「部屋数」や「広さ」を確保できる郊外への移住を検討する方も多くなりました。

1-2 コロナ感染リスク

感染リスクを考えた際にマンションやアパートなどは、戸建住宅に比べ隣人との距離感が近くなります。エレベーターやロビーなどの共有部分があるため、感染リスクを考え独立型の戸建を選択する方が増加しました。
またステイホームが多くなり、みんなが自宅にいる時間が長くなったことで、騒音問題につながるケースもあるそうです。

2.新設住宅着工戸数は?

(pixabay)

消費税増税前の駆け込み需要の反動で大きくマイナスが続いていた2020年、それに拍車をかけるように新型コロナウイルスの流行で、新設住宅着工戸数は2019年7月より2021年2月までの20ヶ月連続の減少となりました。
2021年3月からは、71,787戸と前年同月比1.5%とプラスになり、そこから右肩上がりに回復をみせ、8月には74,303戸の7.5%増の結果となりました。

コロナ禍で戸建のニーズが高まっている2021年度は、多少の上下の変動を見せながらも、このまま増加していくことが考えられます。


出典:国土交通省「建築着工統計調査報告」を基に作成

3.今後、戸建ブームはどうなる?

コロナ特需と言われている住宅業界ですが、このニーズはいつまで続くのでしょうか?

(pixabay)

3-1 今後の予測は?

株式会社野村総合研究所が出した予測によると、2040年には41万戸まで減少する見込みです。コロナの影響で、一度落ち込んだ新設住宅着工戸数が緩やかに回復を見せましたが、今後は厳しい状況となるでしょう。

3-2 なぜ着工数が減少するのか?

大きな要因として、人口の減少があります。また、コロナウイルスの影響で失業者の増加や労働者の収入が減少することで、中古住宅や賃貸のニーズが増加することも要因として考えられます。
しかし、国として住宅ローンの超低金利化などの施策もあるため、しばらくは減少しても緩やかなカーブとなるでしょう。

4.住宅営業にも変化が

コロナの影響を受けて、住宅の販売の仕方にも変化が出ています。

(pixabay)

今まで、住宅展示場や対面での営業が当たり前だった住宅営業ですが、近年は「オンライン商談」や「バーチャル展示場」が人気です。コロナの感染対策においてはもちろん、オンラインであれば、小さいお子様がいるご家庭も移動時間を短縮できるメリットがあり、問い合わせのハードルが低くなります。ただ、オンラインで行うことでデメリットもあるため、上手に使い分けることが大切でしょう。

5.まとめ

本記事では、新設住宅着工戸数を参考にしながら、コロナ禍における「戸建住宅」の人気の理由と、今後の可能性についてご紹介しました。着工戸数の減少は、人口の減少と比例するため必然であると考えられます。その中で、工務店が生き残っていくためには、他社との差別化(魅力的な商品、ブランド力)や、優秀な社員を採用し、少数精鋭の会社にすることで無駄な人件費を削減するなどさまざまな工夫が必要となります。
またこれからの時代は集客方法も考えていかなければなりません。
コロナ禍で「戸建」のニーズが高まっている今、自社のブランド力や商品をアピールするチャンスです。今後の住宅業界の変化をいち早く捉え、早めの対策を講じることが重要です。