「昇進したくない」が8割 出世欲がない若者が急増した4つの理由と対処法
今まで、昇進や昇給は従業員のモチベーションを保つ理由になっていたかもしれません。
しかし、最近は「出世したくない」若者が急増しています。“出世したら負け”という言葉が生まれるほどに価値観は変化しているようです。
令和の若者世代の出世に関する考え方や、そういった部下を持った時の対処法について解説します。
目次
出世したくない若者の現状
転職メディア「転職サイト比較plus(https://www.tosho-trading.co.jp/career/)」が全国の20代男女2327人(20歳〜29歳)に対して実施した、出世欲に関するアンケート調査を参考に見ていきましょう。
将来、役職者になりたい(=出世・昇進したい)と考えている割合は2割程度にとどまる結果となりました。回答者がまだ20代ということで、自身のキャリアについて定まっていないという点を考慮しても低い数字であることが窺えるでしょう。
若者が出世したくないと考える理由とは?
一昔前では、「出世争い」という言葉がありましたが、今では8割近くの若者が出世を視野に入れず働いています。
なぜ「出世したくない」と考えるのでしょうか?
給料より、プライベート
出世の有無は、給料にも大きく影響します。しかし、会社選びの基準を20代に聞くと「年収」や「昇給のペース」より、「休日の取りやすさ」や「残業時間の少なさ」を重視していることが分かりました。管理職になると、残業や休日出勤が多くなりプライベートを犠牲にしなければならないという考えから、給料はそこそこでいいから、自身の趣味などプライベートな時間に時間を確保したいと思っているようです。
責任を取りたくない
出世を嫌う人たちの多くは、「裁量を持って働くこと=やりがいがある」とは考えず、責任を負わなければいけないとプレッシャーに感じる傾向にあります。
現場至上主義
出世欲がないと聞くと、やる気がないと思われがちですが、全員がそうだとは限りません。
管理職になると、部下のマネジメントがメインの業務となるため、現場に出る回数が減ってしまいます。現場から早く離れたいという人もいますが、現場に出て自らが活躍することが“やりがい”になっているタイプは、昇進の機会を断るケースがあります。
転職を視野に入れている
現代の転職に対するハードルの低さも理由の一つと言えるでしょう。
出世競争が繰り広げられていたバブル時代は、終身雇用が当たり前という認識が強く、新卒で入社した会社に定年までいることが普通でした。しかし、今は転職に対するイメージの変化から、“転職ありき”で働いている人も多くいます。そのため、「今働いている会社はどうせ辞めるし、出世しなくてもいいか」という考えになっています。
出世欲がない部下、どうする?
マネージャーとして適正があるにもかかわらず、出世に前向きではない部下がいる場合、どのように対応するべきなのでしょうか?
成功体験を積ませる
出世欲がない人の中には、「自分には向いていない」「マネージャーとしての素質がない」と、自分に務まるのかという不安から、現状維持を選択している場合があります。
そういう場合は、まず「自分には適正があるかもしれない」と認識させることが必要です。そのためには、失敗を許容し、小さな成功体験を積ませることが大切です。
組織の改善
入社当時は出世欲があったのに働いていくうちになくなってしまったというほとんどの人は、「上司が幸せそうに見えないから」と答えます。
例えば、管理職になって責任や業務の負担は増えるのに、手当が少なく残業代が出なくなるため給料は増えるどころか時給換算すると下がってしまう。
このような事実があれば、現状維持でいいかと思われても仕方ありません。労働に見合った報酬を考えなければなりません。
また、業務負担を減らすことができるよう、ITツールの導入や、アウトソーシングを活用することも有効でしょう。
まとめ
転職や副業などの働き方の多様化により、新卒で入社した会社で出世を望む若者は激減しています。
出世欲がないからといって、やる気がない、仕事ができない、というわけではありませんが、なかには、クビにならない程度の必要最低限の言われた仕事だけしかやらない社員もいます。周りの士気も下げてしまう可能性があるため、会社として対策を打つ必要があるでしょう。