2022.07.25
コラム

【2022年4月〜適用】それグレーゾーンかも?パワハラ防止法中小企業も完全義務化

現代で「パワハラ」という言葉を知らない方はいないでしょう。
しかし、意外にも歴史は浅く、「パワハラ」という言葉が生まれたのは平成13年と新しいものです。

性的な言動による嫌がらせを指す言葉は「セクハラ」と呼ばれ、一般的には女性の被害者であるとされていました。しかし、職場では、女性に限らず男性も上司からの言動で悩みを抱えているという理由から「パワハラ」という言葉が生まれました。

建設業界でも度々問題となっていますが、いざ会社や自社の従業員がパワハラで訴えられたら、どう対応しますか?

パワハラ防止法適用により何をしなければいけないのか?

大企業では2020年からすでに施行させていた「パワハラ防止法」ですが、2022年4月に中小企業にも適用されました。今までは、努力義務とされていましたが完全義務化された現在、どのような対応が必要になるのでしょうか?

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事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

パワハラ防止に対する方針を明確し、経営者から従業員に周知する必要があります。
対応策としては、あらかじめ就業規則にパワハラに関する方針や、パワハラが万が一起こった場合の措置を社内規定として記載しておくことです。

相談に応じ、適切に対処するために必要な体制の整備

相談窓口を設置し、相談窓口担当者には研修を行いましょう。
しかし、社内の相談窓口を設置していても、機能していない会社も多くあります。理由としては、「プライバシーがきちんと守られるかが不安」という声や、「ハラスメント加害者と仲が良いため、相手の肩を持つのではないか?」など相談窓口が社内であるが故に相談できないと思っている従業員も少なくありません。
そのような従業員に対応できるよう、外部の相談窓口を設けることがベストです。

事後の迅速かつ適切な対応

従業員からパワハラの相談があった場合には、迅速に事実確認をし再発を防止することが大切です。
相談者の許可を得た上で、加害者や周りの従業員にヒアリングを行います。「パワハラを相談されたけれど、話を聞くだけで何をしたらいいか分からない」という事態にならないように、対応マニュアルを作成しておくのもいいかもしれません。

プライバシー保護、パワハラの相談を理由とする不利益取り扱いの禁止

勇気を出してパワハラを会社側に相談したにも関わらず、被害者側が子会社への転属を命じられるなど、不当な扱いを受ける事例もあります。

パワハラの相談において、プライバシーは守られ、それを理由とする不利益が無いことを周知しましょう。

パワハラのボーダーライン

「少し注意しただけなのにパワハラと言われた」など、パワハラの判断基準を理解していないと実際に問題が起こった際に適切な対応ができなくなります。今回は、意外と見落としがちな「パワハラ」の事例を解説します。

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部下から上司によるパワハラ

パワハラについて知識があまりない人にとって、パワハラは上司が部下に行う行為であると思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、最近多いのが「逆パワハラ」と呼ばれる部下から上司に対するハラスメントです。
事例としては、上司からの指示に従わない上司の誹謗中傷の噂を流すなどが挙げられます。部下からパワハラを受けているという事実は非常に相談しづらい為、発覚が遅れるケースを多く見受けられます。

有給取得の理由を聞く

有給は労働者の権利として定められています。業務が立て込んでいたりする場合、理由を聞いて有給を別の日に変更してほしいと思うかもしれませんが、従業員が理由を答えたくないと言っている場合に有給の理由を聞き出そうとすることはパワハラ認定される恐れがあります。

部下からパワハラで訴えられた場合の対応は?

従業員がパワハラを訴えた場合、対応を誤れば会社の信用問題にまで発展しかねません。正しく対処し、二次被害を起こさないためにはどうするべきかが重要なポイントです。

①会社に報告する(個人で対応しない)
②会社側は事実確認のヒアリングを行う(パワハラの有無を判断)
参考:厚生労働省「パワーハラスメントの定義」
③就業規則に則り、加害者の処罰を検討するとともに被害者のフォローを行う。
※双方の主張が食い違うなどなど、社内で解決できない場合は、書面を作成し弁護士へ相談しましょう。

まとめ

建設業界は常に危険と隣り合わせで業務を行うため、ちょっとしたミスが許されない場面も多く、指導が厳しくなりがちです。
どういった行為がパワハラに当たるのか、パワハラをしてしまった場合の処罰はどうなるのか、従業員に周知することでパワハラが起こりにくい環境にすることが大切です。
しかし、それだけでパワハラを全て抑制できるとは言い難い為、起こってしまった後の速やかな対応策を考えておきましょう。