【止まらない円安】住宅業界への影響は?
現在、1998年以降、約24年ぶりとなる円安水準を更新しています。
この勢いはまだまだ止まりそうになく、このままでは日本円は紙クズになってしまうかもしれないと予想している人も少なくありません。
なぜ、円安が止まらないのでしょうか?またこのまま円安が続くと、住宅業界にはどのような影響があるのか?についても解説していきます。
目次
円安の状況
6月20日午前10時時点で1ドル135円70銭前後と、前週末午後5時時点に比べ85銭の大幅なドル高・円安となっています。
今まで、日本では「円安」は経済にとって良いことであるとされてきました。
たとえば、日本の市場で時価総額1位である【トヨタ自動車株式会社】は、対ドルで1円「円安」になれば営業利益が400億円嵩上げされます。
しかし、日銀の黒田総裁は「急速な円安はマイナス」であると発言していることから、昔の「円安」と今の「円安」には違いがあるということが伺えます。
なぜ円安が止まらないのか?
昨年末ごろから急速に進む円安傾向ですが、その理由は何でしょうか?対ドルだけでなく、他の主要通貨ユーロ、ポンド、オーストラリアドルなどと比較しても全て円安となっています。
日米の金利差
アメリカを筆頭にコロナ後のインフレが進み、物価高を抑えるために金利を上げる「利上げ」が加速しました。
その頃、日本も物価が上昇していましたが、物価の上昇の理由が需要拡大ではなく、コロナ後需要や、ウクライナ侵攻でのエネルギーの高騰など外的要因でした。
利上げすれば不景気になるため、金利を上げることができず、円安を受け入れるしかなかったという状況です。
ドル高・円安が急速に進み、「円を売って、ドルを買う」人が増えました。
なぜ今回の円安は「悪い円安」と言われるのか?
1ドル130円の水準をつけた20年前の円安と現在では経済環境が変化しており、今回の円安は「悪い円安」と呼ばれるようになりました。
昔の日本は、国内に工場があり海外へと輸出をしていたため、円安が日本の経済にプラスに働きました。
しかし、現在はどうでしょう。さまざまな企業が海外での現地生産を進めており、輸入がさかんになっている状況です。輸入品の価格が上がると、日本経済はマイナスとなってしまいます。
円安が住宅業界に与える影響とは?
円安で儲かる業界もあるようですが、住宅業界が受ける影響はどうしょうか?
建築資材の高騰
日本の木材自給率は令和2年時点で42%です。つまりそれ以外は輸入に頼っているということになります。
ウッドショックの影響が続く中、円安が建築資材高騰に拍車をかける形となってしまいました。
価格の高騰は木材だけにとどまらず、鉄筋、鋼材や水回りの住宅設備品など、住宅に関わる大半が今後さらに値上げすると予想されています。
住宅ローン金利の上昇
3つのタイプから選択できる、住宅ローンですが、金利情勢に応じて半年毎に金利が見直される「変動金利」の利用者が現在80%以上を占めています。
バブル崩壊後〜現在まで、日本の金利は上昇せずにきたため、変動金利にすることで、固定金利よりメリットがありました。
しかし、今回の円安の影響で、3年以内に金利が上昇すると予想されています。
住宅ローンの提案は何がベスト?
3年以内に金利の上昇が予想されている中、住宅購入を検討しているお客様への提案はどうすればいいのでしょうか?
固定金利を進める
3種類ある住宅ローンの中で最も選ばれている「変動金利」ですが、今後は金利上昇のリスクがあるため、「固定金利」を提案することがお勧めです。しかし、固定金利は借入時の金利が高くなるなどのデメリットもあるため、お客様の状況に応じて柔軟に対応する必要があります。
まとめ
ウッドショックに続き、急速に進む円安の影響で、木材や合板、鉄鋼など住宅に欠かせない資材が高騰しています。
建築資材の高騰は販売価格に転嫁せざるを得ない状況となっており、新築の需要低下が予想されます。
住宅業界にとって、2022年は非常に厳しい局面であることは間違いありません。