2025年までに市場規模100兆円超!「アクティブシニア」向けリフォーム・リノベーション
「アクティブシニア」とは、元気なシニア世代のことを意味します。
2025年までに「アクティブシニア」に関する市場規模は100兆円を超えると言われています。
住宅業界においてもアクティブシニア向けのリフォーム・リノベーションといったマーケットが拡大し、いよいよアクティブシニア市場への注目度が高まっています。
目次
アクティブシニアとは
「アクティブシニア」という言葉が使われ始めたのは、団塊の世代が定年退職を迎え始めた2007年頃からだと言われています。
自分なりのこだわりや価値観を持ち、仕事や趣味に意欲的なシニア世代のことで、一般社団法人「日本アクティブシニア協会」では前期高齢者(65~75歳)と定義しています。
(pixabay)
認知機能・身体機能から見る「アクティブシニア」
次のグラフは、総務省の「ICT超高齢社会構想会議(平成 25 年 5 月)」の報告書の中で『変わる高齢者像 -アクティブシニアの出現-』として紹介された資料のひとつです。
人間は加齢とともに身体能力や認知機能が低下すると考えられてきました。しかし、この分析では短期記憶能力が衰える一方で、日常問題解決能力や言語能力はむしろ向上するという興味深い結果となっています。
自立的な高齢者が2030年時点で約8割に
同じく総務省の報告書で紹介された資料の中に、2007年から2030年までの「要介護者の割合の推移」があります。
2030年時点では高齢者のうち8割が介護を必要とせず、自立的に暮らしているという予測データです。
これらの事から、高齢者を年齢で一括りにして「身体・認知機能が低下している」と考えることは適切では無く、心身ともに元気なアクティブシニアが増加するという見方が広まりました。
(pixabay)
ライフスタイル
加えて、アクティブシニアの特徴と言われているのが例えば次のようなことです。
- 「働けるうちは、いつまでも働きたい」と考える
- 年齢にとらわれず、やりたい事に取り組む
- 健康的・行動的で生き生きとしている
- 仕事や趣味に対して非常に意欲的である
- 健康・自立意識が強い
- 新しい価値観を積極的に取り入れようとする
チャレンジ精神が旺盛で、仕事や趣味に対しても年齢にとらわれず挑戦する姿勢があります。そして、そのためにも健康維持は重要で、健康や美容に対する意識も高い傾向があると言われています。
(pixabay)
アクティブシニア向けリフォーム・リノベーション
「アクティブシニア」という言葉が使われるようになってから10年以上、住宅業界においてもアクティブシニア市場を意識したビジネスが登場しています。
従来「シニア向けのリフォーム」と言えばバリアフリーや断熱を主軸として、老後の身体機能をカバーする安全な住まいがテーマとされてきました。
アクティブシニア向けとなると、そこに「価値観・ライフスタイル」が重要な要素として加わります。
(pixabay)
趣味の部屋
総務省統計局が平成28年に行なった、「統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-」の調査によると、シニア世代の趣味の傾向は次のグラフの結果となりました。
ガーデニング、読書、映画鑑賞が多数を占め、カラオケや写真、手芸、音楽といった趣味を楽しむ人が多い傾向にあります。
ガーデニングを楽しめるスペースやカラオケルーム、写真を展示したりカメラの手入れ等が出来る「趣味の部屋」に魅力を感じるアクティブシニアは多いでしょう。
(pixabay)
健康・長寿の住まい
2021年10月、健康寿命を延ばし生涯の自立を目指すことをテーマとした「サービス付き高齢者向け住宅」(通称:サ高住)横浜にオープンしました。
フィットネスクラブと連携した独自の運動プログラムの実施するなど「健康増進」を強く打ち出しています。
これはマンション一棟を丸々サ高住とする事業モデルですが、健康増進という意味では例えば自宅に快適にヨガを楽しめるリビング、ちょっとしたジムトレーニングができる部屋があるような住まいには需要があるでしょう。
また、設備面以外でも無垢のフローリングや漆喰などの自然素材を原料とする壁材など「素材」の面からシニアの健康に対する関心に対してアプローチしている例もあります。
趣味や仕事に挑戦するための基盤となるのが「健康維持」です。
アクティブシニア向けリフォーム・リノベーションにおいては、「健康」のテーマが外せないものとなるかもしれません。
(pixabay)
家族や友人が来訪しやすい家
シニア世代では時間にゆとりが生まれる分、話し相手がいる生活を望む人が多いと言われています。
来訪者をもてなせるリビングや、ゲストの寝室になるスペースなど家族や友人を呼びやすい住まいは非常に魅力的でしょう。
(pixabay)
夫婦2人がゆったり暮らせる
子供が巣立っていった後の生活スタイルの変化に対応するリノベーションも、アクティブシニアにとって需要が高いと言えるかもしれません。楽に歩ける導線を確保し、広々としたリビングや寝室、子供が使っていたスペースを趣味の空間や書斎にアレンジするのも良さそうです。
(pixabay)
まとめ
人生100年時代と言われ自立した高齢者が増加すると予測される今後の日本、高齢者にとっての理想的な住まいにも変化が起きています。
市場規模の拡大から見ても、アクティブシニア向けのリフォーム・リノベーションは今後一層需要が高まっていくでしょう。