これからの人材育成・マネジメントに必須の「クリティカルシンキング」とは
「クリティカルシンキング」という言葉を、人材育成やマネジメントに関する話題で耳にします。
クリティカルシンキング・スキルは、環境やシステムの変化速度が上がっている現代社会に対応する事ができ、円滑なコミュニケーションにおいても重要だと言われています。
この記事では、クリティカルシンキングの基本的な考え方について分かりやすく、詳しく解説します。
目次
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは論理的・構造的に思考するパターンのことを指します。
物事を多角的に考え、適切に分析する思考のことであり、習慣や状況といったことに影響を受けずに本質を見極めることができます。
具体的には、ある物事について思考する際に、錯覚や思い込みを排除して、前提条件が正しいのかどうかという点にも注意します。
そして、仮説と検証によって本質を見極めていきます。
クリティカルシンキングに対する誤解
クリティカルシンキングは日本語で「批判的思考」と訳されます。
この場合に、「批判」という言葉の持つイメージが強いことが原因で、クリティカルシンキングについて誤解が生じる事が少なくありません。
物事に対して疑って入ることや、良くない点を見るといったイメージは、クリティカルシンキングの本質からはかえって離れてしまうため、誤った解釈には注意が必要です。
クリティカルシンキングの例
例えば、「最近の若手社員は、すぐに辞めてしまう」という問題について考える時、まず「若手社員はすぐに辞める」という前提が正しいのかどうかについて、客観的な検証を行います。
肌感覚のみに頼った前提から考えるのではなく、「どれだけの割合の人数が、どれくらいの期間で、どういった理由で離職したのか」という客観的なデータを調査した上で、問題解決に向けた思考を開始するという事です。
また、若手社員の離職率が高いという問題が、若手社員のマインド面に起因しているのか、会社の育成制度に課題があるのか、といった点についても仮説と検証を行い、曖昧な前提に捉われずに客観的な思考を展開していきます。
(pixabay)
クリティカルシンキングがなぜ必要なのか
なぜクリティカルシンキングが必要とされるのか、クリティカルシンキングが重視されるようになった背景、理由について解説します。
価値観の多様化に対応するため
日本においても、ほんの十数年前と比較しても価値観の多様化は急速に進んでいます。
昔は「一般的な考え方」「共通の価値観」といった視点で物事を捉えられる能力が重視された面がありますが、現代では多様な価値観への対応が注目されています。
分かりやすい変化で言えば、例えば昔は国民のほとんどが同じTV番組を見たり、同じ音楽を聴いているといった生活状況でしたが、現代ではインターネットやスマホなどの端末の発展・普及によって、個人によって見るもの・聴くものに関しても選択が出来るようになりました。
価値観の違いを認める事が求められる現代においては、特定の枠組みに捉われない思考が必要とされます。
そのため、物事の本質的な理解を引き出すクリティカルシンキングが重要だと考えられるようになったと言えます。
急速に変化する社会に対応するため
社会やビジネスを取り巻く状況が変化する速度が増している現代社会では、「1年前の常識が通用しない」といったレベルのスピード感が当たり前になってきました。
こういった状況下においては、過去に当たり前だった前提や流行したフレームワークなどに捉われる思考はリスクとなります。
「VUCA時代」というひとつの表現を見ても、「VUCA時代にPDCAのフレームワークは適さない」「VUCAという考え方自体が、もう古い」など、日々情報はアップデートされ、錯綜します。
スピード感を持って時代の変化に対応していく上で、物事を本質的に捉えられるクリティカルシンキングの思考は有効であると考えられているのです。
まとめ
クリティカルシンキングは「批判的思考」と表現される場合がありますが、「論理的・構造的な思考パターン」「思い込みや錯覚に影響されない思考」を指す言葉であるため、解釈には注意が必要です。
クリティカルシンキングが現代の人材育成やマネジメントに必要だと言われる背景には、価値観の多様化や社会の変化スピードが増している事が挙げられます。
過去の常識が当てはまらない状況や物事にスピード感を持って対応するために、クリティカルシンキングが役立つと考えられています。
【参考記事】
https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000040/
https://www.learningagency.co.jp/column_report/column/hrd_column_63_180131.html