2022.04.13
コラム

【世界最高の話し方 Vol.1】 「脱・残念な上司」社員の離職さえ防ぐ世界エリート・幹部の「賞賛力」

自分の話し方を客観的に聞いてみた経験はありますか?「自分の話し方を録画して、プレビューしながら勉強した。」そんな答えは、おそらく少ないでしょう。

今回のコラムでは、人気著書「世界最高の話し方」を元にしたグローバルエリート達のコミュニケーションスキルに注目します。第一回では社員の離職防止効果まで期待できる「賞賛力」を見ていきましょう。

「世界最高の話し方」とは

「世界最高の話し方」は、これまで1000人以上の社長や企業幹部に「エグゼクティブの話し方(スピーキング)」の指導をしてきたスペシャリストによる書籍です。

著者はこれまでに国内有数のメーカー社長・役員、経営陣や、世界的な製薬・IT企業の外国人社長たちのコーチを務めており、書籍は15万部を突破して、Amazonでは1000件以上のレビュー・高評価を得て売れ続けています。

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話し方を変えるだけで、社員の離職を防げる?

このコラムでは「世界最高の話し方」を元にしたコミュニケーションスキルについて理解を進めていきますが、そもそもなぜ社員の離職を防ぐのに上司の話し方が重要だと考えられるのでしょうか。

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社員が「会社を辞めたいと思うとき」

2020年に会社勤務をしている1000人を対象に行われた調査で、「会社を辞めたいと思うとき」の問いに対して次のような結果が示されました。

出典)PRTIMES

第一位にもなっている人間関係についての悩みは、いつの時代どの世代にも共通して多く挙げられます。

トップ5に注目してみると「理不尽な扱いや叱責を受けた」が第二位ですが、社員がこのように感じる場合の多くは目上が対象と考えられるでしょう。

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第一位の「職場の人間関係が悪い」は対象が広いですが、この中に上司との関係が含まれている事も考えられるでしょう。そこに加えて「上司と合わない」が第五位にランクインしている点も踏まえると、上司との関係改善が社員の離職を防ぐ可能性が見えてくるのではないでしょうか。

賞賛力

多くのエリート達のコーチを務めてきた著者が得た実感のひとつとして「真のエリートは賞賛力が高い」という事を紹介しています。真のエリートは一流の誉め方を身につけており、人々の心を掴むと言います。

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しかし、海外のエグゼクティブとの会話で「賞賛力」を感じる一方で、日本においては「賞賛力」が比較的弱いと感じたと述べています。それは一体なぜなのでしょうか。

「社会は厳しい。褒められなくて当然。」という風潮

日本では「社会は厳しいものだ。」「子供の頃は褒めてもらえるかもしれないが、社会に出たら褒めてもらえる事はそんなに無いんだぞ。」という様な言葉を、どこかで聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

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日本では社会人に対して「褒める=甘やかす」と認識する風潮があったために、簡単に褒めない事をひとつの美徳としている人が現代でも少なくないかもしれません。

褒められたい部下、褒めている「つもり」の上司

職場のコミュニケーションに関する意識調査では、上司と部下の間に「褒める」ことについての大きなギャップが判明し話題になりました。

出典)公益財団法人 日本生産性本部

日常的に部下を褒めていると思っていたのに、本人は褒められていると感じておらず不満を募らせていた」といった状況が起きている職場が少なくないことが窺えます。

「ミカン保管の法則」

「世界最高の話し方」で紹介されている賞賛力アップのノウハウとして「ミカンほかんの法則」があります。

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それは、次の4つを組み合わせて褒めるというものです。

  • …「承認(とめる)」
  • かん…「共
  • …「賞賛(める)」
  • かん…「謝」

例えば、部下が一つの契約を取ってきたとしましょう。「お疲れ様。今期は頑張ってるね。」といったシンプルな一言が「ミカンほかんの法則」を使うとこの様に変わります。

契約が取れたみたいだね。(承認

一つの契約を取るまでには見えない苦労が沢山あるから、結果が出るとやっぱり嬉しいよね。(共感

お客様も大変満足されているようで細かい心配りが本当に素晴らしかったよ。よく頑張ったね。(賞賛

おめでとう。素晴らしい仕事をありがとう。(感謝

「ミカンほかん」の4要素が盛り込まれていることで「上司は自分をしっかり丁寧に見てくれている」「気持ちを分かってくれる」「褒めてくれる」「感謝まで伝えてくれる」と、感じる事ができるでしょう。

「す・ぐ・き」

世界最高の話し方では更に、承認・共感・賞賛・感謝を伝える際のポイントが紹介されています。それが「す・ぐ・き」です。

  • ぐ(相手の行動の直後に)
  • 体的に
  • 持ちを込める

例えば、部下のプレゼンが良かった際に「良かったよ」の一言ではなく「エビデンスに説得力があるプレゼンで、素晴らしかったよ。」の様に伝えます。

「す・ぐ・き」が習慣化されている上司からの声がけがあると、部下にとっては「見てもらえている」「褒められている」といった実感を日常的に重ねることができ、信頼感が生まれたり、仕事の意欲向上にも繋がるでしょう。

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数年後の部下が「この会社で働きたい」と思っているか「会社を辞めたい」と思っているか、その分かれ道を日常のコミュニケーションが決めるかもしれません。

上司の賞賛力向上は社員の離職防止に繋がる

「世界最高の話し方」コラム第一回では、社員の離職防止の観点から「賞賛力」について理解を深めました。

多くの世界エリート達に見られる賞賛力を身につける事は、多くの会社員にとって離職理由となり得る上司とのコミュニケーションの問題を解決するかもしれません。

ところで、褒められる事は誰にとっても嬉しい事ですが、特に上司とのコミュニケーションにおいては部下が上司をどれだけ信頼しているかも重要なのではないでしょうか。

そこで、コラム第二回では周りの人々から憧れや信頼を抱かれるエリートの「説得力」についてスポットを当ててみたいと思います。